アンドゥリル、上場の意向を表明:防衛スタートアップの野心が明らかに

  • 2025年6月13日
  • 2025年6月13日
  • BS余話

アメリカの次世代防衛テクノロジー企業、アンドゥリル・インダストリーズ(Anduril)は、将来的な株式上場を目指していることを明らかにしました。創業者でありCEOのパルマー・ラッキー氏が、2025年6月11日にCNBCの番組で語った内容は、投資家にとって注目すべきものでした。

アンドゥリルとはどんな企業か

アンドゥリル・インダストリーズは2017年に設立されたアメリカの防衛テクノロジー企業で、カリフォルニア州に本社を構えています。創業者のパルマー・ラッキー氏は、VRヘッドセット「Oculus Rift」を開発したことで知られる起業家です。アンドゥリルは人工知能(AI)、センサー、無人航空機(ドローン)、監視システムなどを融合させた最先端の防衛ソリューションを開発しており、米国防総省をはじめとする政府機関や同盟国への提供を進めています。

同社の代表的な製品には、自律型監視システム「Lattice」や、無人戦闘機「Roadrunner」などがあり、現

IPOの時期は未定だが、上場は既定路線

ラッキー氏はインタビューで「これまでに何度も話し合ってきた。私たちは間違いなく上場企業になる」と明言しました。ただし、現時点でIPOの具体的なスケジュールは発表されていません。

とはいえ、アンドゥリルは当面の資金調達を必要としていない状況です。同社は今月初めに25億ドルを調達し、企業評価額は前回の約2倍にあたる300億ドルを超えました。この評価額は、非公開株式の取引所「Rainmaker」などでの水準とも一致しています。

驚異的な資金需要、IPOへの期待が高まる

今回の資金調達は、アンドゥリルによれば8〜10倍の応募超過(オーバーサブスクライブ)となり、最大で250億ドル規模の需要が集まりました。このことからも、同社に対する市場の期待の大きさがうかがえます。

2024年には売上がすでに10億ドルに達しており、資金面での懸念はほとんどありません。それでも上場を検討するのは、より大規模な国家契約の獲得を視野に入れているためです。

巨額契約には上場企業であることが前提

ラッキー氏は、「アンドゥリルのような企業がF-35共同攻撃戦闘機のような1兆ドル規模の契約を民間企業のままで受注するのは現実的ではない」と語っています。こうした国家レベルの大型案件を獲得するには、上場企業としての透明性や監査体制、さらなる資本へのアクセスが求められるからです。

これまでF-35のような契約はロッキード・マーチン(LMT)のような大手上場企業が担ってきました。一方、非上場企業でもAMゼネラルのように、合同軽戦術車両(JLTV)など数十億ドル規模の契約を勝ち取った例もあります。アンドゥリル自身も、すでに無人戦闘機の開発などで注目すべき成果を上げています。

アンドゥリルの台頭、業界の構図を変える可能性も

アンドゥリルの狙いは、防衛技術市場における存在感を一段と高めることにあります。ラッキー氏の発言からは、同社が国家規模のプロジェクトに参入する準備を進めている様子が伝わってきます。

同社の上場は、その布石にすぎません。防衛業界の既存大手にとって、アンドゥリルは新たな競争相手となり得る存在です。今後の動向から目が離せません。

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