2025年6月、人工知能(AI)を活用したデータ分析で知られるパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が大きく上昇し、注目を集めています。6月11日の取引では一時139.20ドルまで上昇し、日中の過去最高値を記録しました。最終的な終値は136.39ドルで、前日比+2.70%と好調な値動きを見せました。
S&P500指数やナスダック総合指数が横ばいの展開となる中、パランティアのパフォーマンスは際立っています。
株価上昇の背景にある3つの要因
パランティアの株価が年初来で約82%も上昇している背景には、以下のような複数の要因があると考えられます。
- リテール投資家の熱狂的支持
パランティアには、Reddit上で4万人以上のフォロワーを抱える専用コミュニティが存在するなど、個人投資家の支持が根強くあります。 - 政府契約による安定した収益基盤
米国国防総省をはじめとした政府機関との契約が継続しており、前年度の売上の大半は公共部門から得たものでした。 - 民間企業での導入拡大
ウォルグリーンやウェンディーズなどの企業が、パランティアのデータ統合プラットフォームを導入し、業務効率やサプライチェーンの最適化を進めています。
過熱感も指摘される高すぎるバリュエーション
ただし、株価上昇に伴い、バリュエーションの高さが一部で懸念されています。現在の12カ月先の予想株価収益率(PER)は約210倍で、S&P500の平均21.76倍と比較しても極めて高い水準です。
ジェフリーズのアナリストであるブレント・ティル氏は、「スノーフレークやデータドッグといった企業も、かつて同様の高PERで取引されていたが、急落した過去がある」と指摘しています。
アナリストの評価は割れる
ファクトセットのデータによると、パランティアをカバーする28の金融機関のうち、17社が「ホールド(中立)」、6社が「買い)、5社が「売り」と評価しており、市場の見方は分かれています。
一部の強気派は、現在の評価は将来の成長性を織り込んだものであり、パランティアはAI革命の中心に位置する企業だとしています。
株価のボラティリティには注意が必要
直近では、パランティアが大規模な監視活動に関与しているとの報道があり、一時的に株価が下落する場面もありました(同社は関与を否定)。しかし、その後すぐに反発しており、株価の値動きは非常に激しい状況です。
パランティアの3年ベータ値は2.1で、市場平均(1.0)と比較してボラティリティが高いことが確認されています。短期的な価格変動には十分な注意が必要です。
成長期待と高評価のバランスに注目
パランティアはAIとデータ解析という成長分野において確固たる地位を築きつつあり、長期的な成長に期待が寄せられています。しかし、現在の株価には高い期待が織り込まれているため、今後の業績や市場動向によっては大きく株価が動く可能性があります。
投資家にとっては、リターンの可能性とリスクのバランスを冷静に見極める姿勢が求められます。
*過去記事はこちら パランティア PLTR