注目の原子力スタートアップ『オクロ』が米空軍基地と契約へ—株価も急上昇

2025年6月11日、カリフォルニア州サンタクララに拠点を置く原子力スタートアップのオクロ(OKLO)が、アラスカのアイリエルソン空軍基地への電力供給に向けた契約で前進しました。米国国防兵站局(Defense Logistics Agency)から「Auroraパワーハウス」を用いたエネルギー供給に関する「意向通知書(Notice of Intent to Award)」を受領したと発表しています。

この発表を受けて、同社株は6月11日(水)に28%高の67.15ドルまで急騰し、年初来での株価上昇率は217%、過去12カ月では561%に達しています。

長期の遅延を経て前進、過去には抗議により中断も

オクロは2024年12月に提出した年次報告書(10-K)の中で、アイリエルソン空軍基地への「電力と熱の供給について暫定的に選定されている」と記しており、経営陣は以前から契約の実現に自信を見せていました。

しかし、2023年9月にはシアトルを拠点とする競合企業のウルトラ・セーフ・ニュークリアが米連邦請求裁判所に抗議を申し立てたことで、手続きが一時中断されていました。同社は国防総省やNASAと協業しており、独自の小型モジュール炉による提案を行っていたとされます。

自社開発の高速炉技術で遠隔地ニーズに対応

オクロの事業モデルは、電力網に依存しない持続的な電力供給を可能とするもので、電力インフラが限られた地域に適していると評価されています。同社CEOのジェイコブ・デウィット氏は、「米国が主導する高速炉技術の価値を示す機会であり、国家防衛のレジリエンス強化にも貢献できる」とコメントしています。

予定されている契約では、オクロが発電所の設計・建設・保有・運用を担い、長期の電力購入契約(PPA)に基づいて電力と熱を供給する計画です。

課題はNRC認可と商業化の実現性

ただし、この契約の最終的な成立には、米原子力規制委員会(NRC)による認可取得など複数の条件をクリアする必要があります。同社は現在、初の発電所建設を2027年末までに実現したいとしていますが、まだ正式な建設・運用ライセンスは取得していません。

その一方で、NRCはオクロの提出した運転ライセンスに関する別の報告書の審査を開始したとされており、同社は商業化に向けた準備を着実に進めています。

オクロは、同社の原子炉プロトタイプが従来の軽水炉とは異なり、人間による介入なしで安全性を保つ設計であることを強調しており、運転員は施設ごとではなく技術ベースでライセンスを取得することで、複数の拠点を中央から遠隔管理できる構想も描いています。

株式市場も高評価、燃料調達力への期待も

2025年に入ってからオクロの株価は急騰しており、6月10日にはシーポート・リサーチ・パートナーズのアナリストであるジェフ・キャンベル氏が、投資判断を「ニュートラル」から「買い」に引き上げたことも追い風となりました。

同氏は、オクロが国内で逼迫する核燃料の自給を可能にする能力を持つ点を評価しています。

今後の課題は規制面のクリアと、初のAuroraパワーハウスの建設に向けた実行力ですが、原子力分野のイノベーションと国防インフラ支援を両立する企業として、投資家や政策関係者からの注目が集まる状況となっています。

*過去記事「注目の原子力スタートアップ、オクロ株が急騰中―今後の成長余地に期待

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