2025年の米国株式市場では、かつて市場をけん引してきた「マグニフィセント・セブン(M7)」と呼ばれる大型テック株が軟調な動きを見せています。そうした中、投資家の関心が向かっているのが、小売業界の中で特に強い3銘柄を指す「COW」と呼ばれるグループです。
UBSのアナリスト、マイケル・ラッサー氏は、コストコ・ホールセール(COST)、オライリー・オートモーティブ(ORLY)、ウォルマート(WMT)の3社を「COW」と名付け、今後の有力な投資先として注目すべきだと指摘しています。
「COW」銘柄に注目が集まる背景
近年、FAANGやM7といったテック銘柄グループが高いリターンを生んできました。しかし2025年に入ってから、M7銘柄(アルファベット、アマゾン、アップル、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ)は軒並み下落傾向にあります。
一方で、COWに属する3社は、不透明な経済環境下でも安定した成長を見せており、長期的に市場平均を上回るリターンが期待されています。
各企業の強みと差別化ポイント
ラッサー氏は、COWの各企業がそれぞれの業界で際立った競争優位性を持っていると述べています。
- コストコは、会員制を基盤とした高い顧客ロイヤルティを誇り、品質と価格のバランスに優れた商品展開でリピーターを多数抱えています。
- オライリー・オートモーティブは、自動車部品の供給ネットワークが非常に優れており、プロの整備士が注文から20分以内に部品を受け取れるサービス体制を構築しています。
- ウォルマートは、食料品を中心とした日用品の取り扱いに強みを持ち、低価格戦略と急成長するオンライン事業によって幅広い顧客層を獲得しています。
安定した成長と信頼が株価に反映
COW銘柄の魅力は、持続可能な成長と予測可能な業績にあります。既存店売上の成長やEPS(1株当たり利益)の安定性、そして経営陣の透明性ある情報発信が、投資家との信頼関係を強化しています。
ラッサー氏は、「株価に織り込まれるPER(株価収益率)は、企業への信頼の証です」と述べ、これら3社の信頼性が株価にも反映されているとしています。
市場全体を上回る実績と将来性
過去5年間の株価推移を見ると、ウォルマートは141%、コストコとオライリーはともに約230%上昇しており、S&P500(SPX)の約90%というリターンを大きく上回っています。
2025年に入ってからのパフォーマンスでも、COW銘柄は引き続き市場平均を上回る成果を上げています。
新たな「ブル・マーケット」を牽引する可能性
テクノロジー株が調整局面を迎える中、COW銘柄のように堅実な成長が見込める企業に資金が流れるのは自然な流れといえます。変化の激しい市場においても、確かな基盤と信頼を持つ小売企業が、次なるブル・マーケットを牽引する存在となるかもしれません。