2025年6月10日、キャシー・ウッド氏率いるARKインベストは、イーロン・マスク氏の宇宙企業スペースX(SpaceX)に関する新たな企業評価レポートを公表しました。その内容は、投資家にとってまさに夢のような数字が並んでいます。
スペースXの評価額、2030年に2.5兆ドルへ
ARKインベストは、スペースXの企業価値が現在の約3500億ドルから、2030年には2.5兆ドルに達すると予測しています。これは12倍近い上昇であり、年平均リターンに換算すると約40%となります。なお、この予測は複数のシナリオをもとにしたシミュレーションに基づいており、あくまで参考値です。
それでも、2.5兆ドルという数値は、現在の米航空宇宙大手ボーイング(BA)の時価総額の約12倍に相当します。
売上の柱はスターリンクとスターシールド
スペースXの主な収益源は、衛星通信サービス「スターリンク(Starlink)」と、政府向けの宇宙通信システム「スターシールド(Starshield)」です。ARKは、2030年の売上高を約2000億ドル、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を1500億ドル超と予測しており、EBITDAマージンは80%以上という非常に高い水準を想定しています。
企業評価の算出には、2030年のEBITDAに18倍の倍率を適用しています。
参考までに、2024年時点の売上は約100億ドルと推定されており、内訳は打ち上げ事業が30億ドル、スターリンクが50億ドル、スターシールドが20億ドルです。
火星関連資産の評価も反映
ARKのレポートには、火星における資産評価も含まれています。スペースXは2026年に無人火星探査ミッションを開始し、2030年までに約10億ドル相当の設備資産を火星に保有すると見積もっています。さらに2040年には、その帳簿価額が1兆ドル規模にまで達する可能性も示唆されています。
テスラとの相乗効果で時価総額は10兆ドル超に?
ARKは、マスク氏が率いるもう一つの企業であるテスラ(TSLA)についても、2029年までに時価総額が8兆ドルに達すると予測しています。これにより、スペースXと合わせた時価総額は2030年に10兆ドルを超える可能性があるとしています。地球のみならず、太陽系規模でのビジネス展開を視野に入れた構想です。
個人投資家がスペースX株に投資するには?
スペースXは未上場企業のため、個人投資家が直接株を購入するのは困難です。ただし、ARKベンチャーファンド(ARK Venture Fund)、バロン・フォーカスト・グロース・ファンド(BFGFX)、ディスティニーテック100(DXYZ)といった一部ファンドを通じて間接的に投資することは可能です。
ARKインベストは、宇宙通信と火星探査という先進的な分野において、スペースXの成長力を高く評価しています。未来志向のビジネスモデルが、どこまで現実の経済価値に変わるのか。今後の展開に注目が集まります。