AI好調でも株価下落?ブロードコム決算に見る成長と調整の真実

2025年6月5日、ブロードコム(AVGO)は人工知能(AI)向けチップの旺盛な需要を背景に好調な決算を発表しました。しかし翌6日の米国市場では、株価が3%超下落。市場では、ガイダンスの上方修正幅が小さかったことや、これまでの株価急騰による利益確定売りが要因との見方が出ています。

AI関連売上は市場予想を上回る力強い内容に

メリウス・リサーチは、「AI関連の売上指標が明確に改善しており、今は冷静に状況を見守るべきだ」とコメント。ブロードコムは今四半期のAI関連売上を51億ドルと見込んでおり、前四半期比で16%増、前年同期比では60%増と大幅な成長を示しています。これはアナリスト予想を大きく上回る水準です。

TDカウエンによると、同社はこの60%という成長ペースを2025年度および2026年度も維持できると見ており、AIネットワーキングとカスタムチップ(XPU)事業への強い自信がうかがえます。

利益率への懸念も限定的、66%超のEBITDAマージンを維持

一部では、AIアクセラレータへの事業シフトが利益率を圧迫するのではないかとの懸念もあります。しかし、同社は2025年に66%超のEBITDAマージンを見込んでおり、2027年には67%に達するとの予測もあります。

また、インフラソフトウェア部門では、VMwareの「高付加価値」サブスクリプションモデルへの移行が進行中で、2026年まで2桁成長が期待されています。2027年以降も「一桁台後半」の安定成長を維持する見通しです。

ネットワーキング事業がAI関連売上の4割を支える

メリウスは、アルファベット(GOOGL)のテンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)が次世代v7pへの移行過程にあり、一時的な販売空白が生じていると指摘。そのギャップをブロードコムのネットワーキング事業が埋めており、AI関連売上の約40%を占めています。

AIアクセラレータ間を接続するブロードコムのネットワーク技術は、「スケールアップ」需要の拡大に伴い存在感を強めており、今後も安定成長が見込まれます。

下半期にかけてAIアクセラレータ需要が加速へ

メリウスは、2025年後半にAIアクセラレータ需要が「急加速する」と予測。主要顧客の新製品投入が、AIネットワーキング事業の成長をさらに後押しすると見ています。

ジェフリーズも同様に、アルファベットのv7p TPUが本格稼働すれば、アプリケーション専用集積回路(ASIC)の売上が急増すると指摘。ASICへの移行が進む中でも、ブロードコムのネットワーキング分野は依然として高い競争力を保っており、成長トレンドは継続すると評価しています。

株価調整は期待の高さの裏返し

決算発表前の時点で、ブロードコム株は4月の安値から約78%も上昇しており、市場の高い期待が株価に織り込まれていました。今回の下落は、そうした過熱感の反動と見る向きもあります。

バーンスタインは、「AI関連の成長ストーリーはむしろ強化されており、今回の決算は全体としてポジティブだった」と総括。また、ブロードコムはAI関連売上が2026年には300億ドル規模に達する可能性にも言及しており、従来型の半導体事業の伸び悩みを補って余りある成長余地があるとしています。

*過去記事はこちら ブロードコム AVGO

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