2025年6月5日、半導体およびソフトウェアを手がけるブロードコム(AVGO)が2025年度第2四半期の決算を発表しました。売上と利益は市場予想をわずかに上回りましたが、株価は時間外取引で一時3%下落しました。
第2四半期の業績は予想をわずかに上回る
ブロードコムの第2四半期売上は150億ドルで、ファクトセット調べによる市場予想の149億6000万ドルを上回りました。調整後1株利益は1.58ドルで、こちらも市場予想の1.57ドルをやや上回る結果です。
同社の半導体ソリューション部門の売上は84億ドル、インフラストラクチャーソフトウェア部門の売上は66億ドルとなりました。これは同社の事業ポートフォリオの安定性を反映しています。
AI需要が今後の成長ドライバーに
決算説明会で最高経営責任者ホック・タン氏は、2026年後半にかけてAI推論(Inference)需要の増加により、AIチップの需要が加速する可能性があると述べました。
ブロードコムはネットワーク、ブロードバンド、サーバーストレージ、無線、産業機器など複数の分野で半導体を展開しています。また、AI向けの高性能ASIC(特定用途向け集積回路)市場ではリーダー的な立場にあり、大手テクノロジー企業にカスタムAIチップの設計支援を提供しています。
通期見通しは市場予想にほぼ一致
同社は第3四半期の売上見通しとして158億ドルを提示しました。アナリスト予想の157億5000万ドルとほぼ一致する内容で、堅調な業績継続が見込まれています。
JPモルガンは強気を維持
決算発表前の6月3日、JPモルガンのアナリストであるハーラン・サー氏は、ブロードコム株に対する「オーバーウェイト(買い推奨)」評価を維持し、目標株価を250ドルと再確認しました。
サー氏は「AI分野の基礎的な強さが持続しており、ソフトウェアビジネスにおけるシナジー創出も進んでいる」と述べ、「ブロードコムは当社がカバレッジする半導体銘柄の中で最も有望な企業だ」と評価しています。
株価の動向と投資家への注目点
ブロードコムの株価は6月5日の終値で259.93ドルとなっており、年初来で12%上昇しています。短期的には決算発表後の株価下落が見られましたが、中長期的にはAIインフラへの需要拡大やソフトウェア事業の成長が、今後の株価を下支えすると期待されています。
*過去記事はこちら ブロードコム AVGO