2025年6月5日、米投資情報誌のバロンズは、ネットワーク機器大手のアリスタ・ネットワークス(ANET)について「市場が見誤っている」とし、株価上昇の余地がまだ大きいとする推奨記事を掲載しました。本記事ではその内容を紹介しつつ、アリスタ株の注目ポイントを整理します。
一時は株価半減、それでも反発の力強さを見せたアリスタ
アリスタ・ネットワークスの株価は2025年初頭から4月初旬にかけて半値に下落しました。背景には、米中間の関税問題や「ホワイトボックス」競合リスク(顧客が独自の安価な機器を自作する可能性)といった懸念がありました。
しかし最近では、米中関係の改善に加え、主力顧客であるマイクロソフト(MSFT)とメタ・プラットフォームズ(META)が2025年の設備投資を2桁成長させる方針を明らかにするなど、アリスタにとって追い風が吹いています。
決算で疑念を払拭、堅調な成長と高い利益率を維持
アリスタは2025年5月に発表した第1四半期決算で、売上が市場予想を上回る20億ドルに達し、前年同期比で27.6%の成長を記録。特にサービス部門の売上が急増し、製品部門も堅調な成長を見せました。
調整後1株利益(EPS)は59セントの予想に対して64セントとなり、営業利益率は47%超を維持。この好決算は、これまで市場が懸念していた競争リスクを軽減する材料となりました。
イーサネット技術で優位、ホワイトボックスにも負けない競争力
アリスタは「インフィニバンド」ではなく「イーサネット」技術に注力しています。近年、イーサネットの性能は向上しており、特にAI向けの高速通信を可能にする「ウルトライーサネット」への需要が高まっています。
こうした技術的優位性により、アリスタの市場シェアは数年前の約20%から現在は25%近くに拡大しており、シスコ・システムズ(CSCO)からのシェア奪取が進んでいると報じられています。
成長見通しは明るく、アナリストの目標株価は上昇余地あり
ファクトセットによれば、アリスタの売上は2027年まで年平均19%成長し、117億ドルに達する見込みです。また、EPSは年平均17%成長し、3.59ドルまで増加すると予想されています。
現在の予想PER(株価収益率)は約32倍で、年初の51倍からは大幅に低下。成長が続けばPERが再評価され、株価はさらに上昇する可能性があります。
バロンズによれば、アナリストの平均目標株価は年末までに109ドル(現在の株価から約15%の上昇余地)。中でも、ニーダムのアナリスト、ライアン・クンツ氏は130ドルという最高水準の目標株価を提示しています。
まだ間に合うアリスタ株、AI投資とイーサネットが鍵
アリスタ・ネットワークスは過去にもたびたび市場の懸念を覆してきた実績があり、今回も同様に回復軌道に乗りつつあります。今後の成長ドライバーとしては、AIインフラへの投資拡大とイーサネット技術の進化が挙げられます。
既に反発しているとはいえ、「ラリーに乗り遅れた」と考える必要はなさそうです。アリスタ株は今後も注目に値する銘柄だとバロンズは評価しています。