2025年6月3日、エヌビディア(NVDA)の株価が2.8%上昇し、141.22ドルで取引を終えました。この結果、同社の時価総額は3.45兆ドルとなり、マイクロソフト(MSFT)を抜いて米国企業で最も価値のある企業となりました。なお、マイクロソフトの時価総額は3.44兆ドルにとどまっています。
エヌビディアが最後に市場をリードしたのは2025年1月24日以来のことで、3月25日以来のマイクロソフト超えでもあります。一方、アップル(AAPL)は米中の貿易摩擦に伴う関税懸念により株価が軟調で、年初来で約19%下落し、時価総額は3兆ドル近辺まで下がっています。
エヌビディアのAI主導型成長が再評価される
米証券会社ジェフリーズは、エヌビディアを「最も確信度の高い買い推奨銘柄」の1つとしてリストに加えました。同社はAIアクセラレーター市場で支配的な地位を持ち、特にデータセンター業界の急成長によって恩恵を受けています。
現在、同社の最新AIプラットフォーム「ブラックウェル」の本格展開が進んでおり、それにより売上総利益率(粗利益率)が年内に低70%台から中70%台へと改善すると見込まれています。
エヌビディアの2025年度第1四半期の調整後粗利益率は61%で、前四半期の73.5%や前年同期の78.9%からは低下しましたが、これは中国向けH20チップの輸出禁止による45億ドルの特別損失の影響が大きいとされます。この特別項目を除いた調整後粗利益率は71.3%でした。第2四半期のガイダンスでは、72%を見込んでいます。
ブラックウェルとルービンの展開が業績を押し上げる見通し
UBSのアナリストによると、ブラックウェル・プラットフォームの収益性が高まることで、粗利益率は年末にかけて中70%台まで回復する可能性があると見られています。第2四半期には、新世代チップ「GB300」からの収益が「ごくわずか」発生する見込みですが、本格的な出荷は第3四半期以降に始まると予想されています。
また、「ルービン」という次世代AIプラットフォームは、ブラックウェルと同様のラック型アーキテクチャを採用するため、よりスムーズな移行が可能となると分析されています。
中東との提携でソブリンAI事業にも期待感
ジェフリーズはまた、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)がAIインフラへの投資を加速させていることに注目しています。5月には、エヌビディアのCEOジェンスン・フアン氏が、サウジのAI企業「Humain」とのパートナーシップを発表しました。この提携では今後5年間で1万8,000個のチップが展開される予定です。
これにより、エヌビディアのソブリンAI(国家主導のAIインフラ)分野への成長期待も高まっており、グローバル展開がさらに加速する可能性があります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA