メタが原子力に本格投資、AIインフラの長期成長を支える布石

2025年6月3日、メタ・プラットフォームズ(META)は米国最大の独立系原子力発電企業であるコンステレーション・エナジー(CEG)と、20年間にわたる原子力電力購入契約を締結したと発表しました。この契約は、AI関連インフラの急速な拡大に対応するためのエネルギー確保を目的としたもので、今後の業界動向を占う重要な動きといえます。

原子力でAIインフラを支える狙い

メタのマーク・ザッカーバーグCEOは、自身のSNS投稿で「排出ゼロ」の電力を用いてAIモデルを構築するというビジョンを強調しました。契約の詳細は明らかにされていないものの、イリノイ州の原子力施設からの供給により、他の地域での環境負荷を相殺する形となるようです。

この原子力電力の導入により、メタは常時稼働が求められるAIデータセンターに安定した電力供給を確保できることになります。風力や太陽光などの再生可能エネルギーでは、時間帯や気象条件に左右される課題がありますが、原子力はこれを克服する手段として最適です。

メタの巨額AI投資と電力確保の必要性

メタは2025年の設備投資計画を大幅に引き上げ、当初見込みの600億〜650億ドルから、640億〜720億ドルに拡大しました。この背景には、エヌビディア(NVDA)製のAIチップを活用したAIインフラの強化があり、より高度な処理能力を持つデータセンターの増設が不可欠とされています。

加えて、メタは2030年代初頭から最大で4ギガワットに及ぶ新たな原子力発電容量の確保を目指しており、現在はプロジェクトの提案募集を進めています。年末までにいくつかの案件を選定し、具体化する方針です。

テック企業による原子力投資の流れ

今回の契約は、テクノロジー企業による原子力シフトの一環として位置づけられます。2024年には、アルファベット(GOOGL)とアマゾン・ドット・コム(AMZN)が、それぞれ小型モジュール炉(SMR)の建設支援に合意しました。これらのSMRは早ければ2030年にもデータセンターへの電力供給を開始する見込みです。

また、マイクロソフト(MSFT)もコンステレーション・エナジーと提携し、スリーマイル島で再稼働した原子炉から電力を調達する契約を締結しています。今後もこうした大手IT企業による原子力発電との連携は加速する可能性があります。

AI時代の電力インフラ戦略としての原子力

AIが社会のあらゆる分野に浸透する中で、電力インフラの確保は避けて通れない課題です。特に24時間365日稼働するAIデータセンターでは、安定かつ大量の電力供給が求められています。原子力は、この要件に応える有力な手段として注目を集めています。

メタをはじめとするテクノロジー企業の動向は、AIインフラの成長が一時的なブームではなく、数十年単位の長期的な産業構造転換であることを示しています。AI関連投資と並行して、エネルギー供給の長期的視野に立った戦略が、今後の企業競争力を左右することになりそうです。

*過去記事 メタ・プラットフォームズ

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