半導体大手のブロードコム(AVGO)の株価が、ここ数カ月で急上昇しています。年初は軟調なスタートとなりましたが、4月3日以降で株価は約70%上昇し、6月3日の米国市場では午前の段階で257ドルを超えて、2024年12月に記録した過去最高値251.88ドルを更新しました。
AI需要が業績を押し上げるとシティが予想
シティ・リサーチのアナリスト、クリストファー・ダネリー氏は、AIプロセッサー需要の急増を背景に、ブロードコムの業績が市場予想を上回ると分析しています。ダネリー氏は投資判断を「買い」で維持し、目標株価を210ドルから275ドルに引き上げました。
ブロードコムは、今週5日の米国市場の取引終了後に、2025年度第2四半期の決算を発表する予定です。
トマホーク6スイッチチップを発表、高帯域でAI用途を強化
6月3日、ブロードコムは新型イーサネットスイッチ「トマホーク6」の出荷開始を発表しました。このスイッチチップは、AIクラスター向けに設計されており、現在市場に出回っているイーサネットスイッチの中で最高レベルの帯域幅を実現しています。
シティのダネリー氏は「ブロードコムは高性能イーサネットチップ市場で長年にわたりトップに君臨してきた。もしこの製品が最上位でなければむしろ驚きだ」とコメントしています。
非AI半導体事業は低迷中も、今後の回復に期待
AI関連での勢いとは対照的に、非AI向けの半導体売上は2023年度初期のピーク時から約40%減少しています。しかし、シティはこのセグメントも今後回復すると見込んでいます。
ウォール街でも強気姿勢が広がる
シティ以外にもブロードコム株に対して強気な見方が増えています。メリウス・リサーチのベン・ライツェス氏も目標株価を198ドルから283ドルに引き上げ、AIチップ市場でエヌビディアに次ぐポジションを確保しつつ、長期的な成長路線を評価しています。
ファクトセットのデータによると、過去1カ月間で16人のアナリストが「買い」評価を再確認しており、ブロードコムへの期待はさらに高まっています。
*過去記事「ブロードコム、AI需要と株主還元で株価上昇の勢い加速」