人工知能を活用したロボティクスとドローンの導入が、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の将来的なコスト削減に大きく寄与する可能性があると、BofA証券が指摘しました。同行のアナリスト、ジャスティン・ポスト氏は、2032年までに約160億ドルのコスト削減効果が見込まれると試算しています。
BofAがアマゾンの目標株価を引き上げ
ポスト氏は2025年6月2日のリサーチノートにおいて、アマゾン株の目標株価を230ドルから248ドルに引き上げ、投資判断を「買い」で据え置きました。アマゾン株は年初来で6%下落しているものの、同氏はAIとロボティクスによる効率化が利益を支えると評価しています。
75万台のロボットが支える物流ネットワーク
アマゾンは、豊富な品ぞろえと迅速な配送で知られる企業です。同社は現在、75万台を超えるロボットを物流オペレーションに導入しており、社員の安全性と生産性を向上させると同時に、配送スピードの向上にもつなげています。
代表的なロボットには「ハーキュリーズ(Hercules)」と呼ばれる移動型ロボットがあり、商品が入ったポッドを従業員のもとへ運ぶことで、ピッキング作業の効率を高めています。また、「ロビン(Robin)」と呼ばれるロボットアームは、荷物を持ち上げて仕分けし、配送トラックに積み込む前の工程を担っています。
AIで学習したロボットが精度と効率を向上
ポスト氏によると、アマゾンはAIを活用して膨大なインタラクションデータからモデルを学習させており、ロボットは物理的特性や周囲の環境を深く理解するようになっています。これにより、これまで以上に多様な商品を扱えるようになっており、労働依存の軽減、注文精度の向上、倉庫業務の効率化といった大きな成果が期待されています。
関税への懸念が株価の重しに
ただし、アマゾンの株価は足元で調整気味です。背景には、トランプ大統領が打ち出した輸入関税の影響が業績に及ぶとの投資家の懸念があります。物流コストやサプライチェーンへの波及を警戒する声もあり、市場はアマゾンの対応力を注視しています。
AIとロボティクスでさらなる競争優位へ
AIとロボティクスの導入は、アマゾンの事業効率を飛躍的に高める原動力となりつつあります。今後も同社のテクノロジー投資が、収益性と成長性の両面でポジティブに作用するかが注目されます。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN