2025年5月30日、バロンズ誌はクルーズ業界で注目されるバイキング・ホールディングス(VIK)に関する記事を公開しました。今回はその内容を紹介しつつ、投資家にとっての注目点を整理します。
一時的な株価下落の背景
バイキング・ホールディングスの株価は、最近の決算発表後に下落しました。内容自体は市場予想を上回る好決算でしたが、経営陣の慎重な見通しが投資家心理に影を落としました。加えて、IPOから約1年後に実施されたセカンダリーオファリング(既存株主による売出し)も売り材料となりました。
富裕層の根強い需要と高いリピート率
しかし、この売りは一時的な調整に過ぎないと見る市場関係者も多く、長期的な成長には楽観的な声が目立ちます。T.ロウ・プライスの運用者は、「財務の健全性」「投下資本利益率」「船の新規就航計画」などの点でバイキングをクルーズ業界のトップ候補と評価。特に、富裕層顧客を中心に高いリピート率を誇ることが安定的な売上に直結していると指摘しています。
驚異的な予約状況と強い価格設定力
2025年の予約率は92%、2026年でも35%以上がすでに埋まっており、これはクルーズ業界における第1四半期の「ウェーブシーズン」が記録的だったことを示しています。価格帯も高級路線を維持しており、今後の利益率の高さを裏付けています。
業界平均を上回る成長予測
アナリストの平均予想によれば、バイキングの2025年EPSは2.42ドル(前年比+30%以上)、2026年には3.06ドル(+26%)と、主要競合であるカーニバル、ノルウェージャン、ロイヤル・カリビアンを大きく上回る見通しです。それにもかかわらず、来年の予想PERは14.5倍と割安水準にとどまっています。
クルーズ以外にも広がる展開
従来の欧州河川クルーズに加え、バイキングは現在、全7大陸をカバーするオーシャンクルーズや遠征航海へと展開を広げています。英語対応の乗組員による没入型体験が評価され、競合他社との差別化にも成功しています。
長期投資に向く銘柄か?
セカンダリーオファリングについても、市場ではネガティブな材料とは受け止められていません。IPO後の株式売出しはよくある流れであり、今後の成長資金確保と見なす声もあります。
富裕層に支えられた安定需要、新造船の投入、強固な財務基盤、そして高いブランド忠誠度。これらを背景に、バイキングは経済の逆風にも強い企業として、長期的な投資先としての魅力を持っていると評価されています。
バイキング・ホールディングスの株価は2025年5月30日時点で44.64ドル。アナリストの平均目標株価は51ドル超で、14%の上昇余地があるとされています。クルーズ需要が再び高まるなかで、押し目買いの好機となるかもしれません。