イーロン・マスクが描く火星都市構想:スペースXが挑む100万トン輸送計画とは?

  • 2025年6月2日
  • 2025年6月2日
  • BS余話

スペースXの最高経営責任者であり、テスラ(TSLA)のCEOでもあるイーロン・マスク氏が、地球外における人類の未来について壮大なビジョンを明かしました。舞台はテキサス州のスペースX拠点「スターべース」。先週末、社員向けに行われたプレゼンテーションで、マスク氏は同社の宇宙技術の進化と、人類を火星へ送り込むための具体的なステップについて語りました。

火星都市構想:「文明の長期的存続のために不可欠」

マスク氏は「火星に文明を築くことは、人類全体の長期的な存続にとって極めて重要です」と強調。火星にとどまらず、小惑星帯や他の恒星系にまで人類の活動を拡大するという最終目標を掲げ、「科学フィクションが現実になる時代が来た」と語りました。

その実現に向けては、大量の再利用可能なロケットを高頻度で運用する体制が不可欠としています。

スターシップ:史上最大のロケットで火星へ

スペースXが開発中の「スターシップ」は、全長約120メートルの巨大ロケット。再利用可能な構造を持ち、人類史上最大級のロケットとして注目されています。現在、2〜3週間に1機のペースで製造されていますが、マスク氏は年間1,000機の生産を目指すと明言しました。

参考までに、ボーイング(BA)とエアバス(AIR)は2024年に合計1,114機、2025年には約1,400機の航空機を納入予定。スターシップがその規模に並ぶようになれば、宇宙産業が航空機産業に匹敵する存在になる可能性があります。

火星への打ち上げチャンスは2年に一度:次は2026年末

地球と火星の距離は常に変化しますが、両惑星が最接近する「打ち上げウィンドウ」は約26カ月ごとに訪れます。この時期に打ち上げを行えば、燃料消費が最小限に抑えられるため、火星ミッションはこのタイミングを狙って計画されます。次回のウィンドウは2026年末。スペースXはこのチャンスに間に合わせることを目標としています。

この目標の達成には以下のような技術的ブレークスルーが不可欠です:

  • 上段・下段のロケットの再着陸と再利用
  • エンジン性能や耐熱シールドの改良
  • 軌道上での燃料補給技術の確立(2026年から試験予定)

試行錯誤を恐れないスペースX

これまでにスターシップの打ち上げ試験は9回行われており、すべてにおいて何らかの課題が発生しています。しかし、スペースXのエンジニアたちは失敗を「学習の機会」と捉え、次の成功に向けて粘り強く挑戦を続けています。

資金源はスターリンク:インターネット衛星が火星開発を支える

この壮大な計画を支えているのが、スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」です。すでに黒字化しており、同社の評価額3,500億ドルのうち約80%を占めていると、レインメーカー・セキュリティーズのグレン・アンダーソンCEOは指摘しています。

スターリンクの契約者数は世界で500万人を超えており、今後さらに拡大が見込まれています。参考として、ボーイングとエアバスの合計企業価値(負債込み)は約3,400億ドルと推定されています。

目標は「100万トンの物資を火星へ」

最終的なビジョンとして、マスク氏は2年ごとの打ち上げウィンドウで100万トンの貨物を火星に送る体制を築くことを目指しています。これは、数千機のロケットによって何百万トンもの物資を火星へ運び、人類が自立して生活できる都市を築くという壮大な構想です。


技術力と資金力の両面から、スペースXは火星移住という夢の実現に向けて現実的な一歩を踏み出しています。この計画がどこまで進むのか、世界中が注目しています。

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