四半期ごとに公開されるフォーム13Fにより、著名投資家の保有銘柄が明らかになります。2025年第1四半期の開示では、多くの大手ヘッジファンドがアップスタート(UPST)に注目していることが分かりました。人工知能を活用した革新的な融資プラットフォームを展開するアップスタートは、今後の成長が大いに期待される銘柄です。
億万長者も買い増し中:アップスタートに資金が流入
以下は、アップスタートに投資した著名投資家の動向です。
- コーチュー・マネジメントのフィリップ・ラフォン氏は、アップスタートを521,887株買い増しし、保有比率は150%増加しました。
- シタデル・アドバイザーズのケン・グリフィン氏は、202,094株買い増し、保有比率は618%増加しました。
- チューダー・インベストメントのポール・チューダー・ジョーンズ氏は、13,729株買い増し、保有比率は28%増加しました。
こうした動きは、アップスタートが有望なAI銘柄として多くの投資家に注目されていることを示しています。
アップスタートとは?AIによる信用評価の進化
アップスタートは、人工知能を用いた融資プラットフォームを提供する企業です。従来のFICOスコアなどに頼らず、独自の機械学習モデルを活用して借り手の信用リスクを評価します。
このモデルは、返済や延滞といったリアルタイムのデータをもとに継続的に学習を重ね、精度を高めていきます。こうした仕組みによって、より多くの借り手が、より適正な金利で融資を受けることが可能となります。
2025年Q1決算:成長の兆しと株価の反応
アップスタートは、2025年第1四半期に以下のような好調な業績を報告しました。
- ローン起案件数は前年同期比で2倍以上に増加
- 売上は67%増の21億ドルに達しました
- 調整後1株利益は0.30ドルで、前年同期の0.31ドルの赤字から黒字転換しました
しかし、好決算にもかかわらず株価は下落しました。これは、トランプ大統領による関税政策が米経済に与える影響への懸念が背景にあるとみられます。景気が減速すれば、銀行は融資に対して慎重な姿勢を強めるため、アップスタートには一時的な逆風となる可能性があります。
長期的な成長性は?AI融資市場での優位性
アップスタートの強みは、AIを活用した融資審査にあります。従来の与信モデルよりも精度が高く、借り手にとっても金利が低くなるメリットがあります。さらに、同社のAIモデルは、データが増えるほど精度が向上するネットワーク効果を持っています。
実際、アップスタート経由で発行されたローンは、過去8四半期にわたり、2年物米国債の利回りを平均8ポイント上回るリターンを記録しています。これは、貸し手にとって非常に魅力的な利回りであり、プラットフォーム利用企業の拡大につながる要因といえます。
アップスタートがターゲットとする市場規模は3兆ドルにのぼり、今後も同社のプラットフォームを採用する金融機関が増加していく可能性があります。
アナリスト予想:80%の上昇余地も
米国みずほ証券のダン・ドレフ氏は、アップスタートの目標株価を85ドルと設定しています。これは、現在の株価47ドル前後から約80%の上昇余地がある水準です。
ウォール街では、同社の調整後利益が2026年までに年率195%で成長すると予測されています。現在のPER(140倍)は高く見えるものの、急成長を前提とすれば妥当と評価する見方もあります。
短期の不安は長期投資家のチャンス
アップスタートは、AI技術によって融資市場に変革をもたらしている企業です。短期的には経済環境の不透明さから株価が変動する可能性がありますが、長期的には市場規模の拡大とAIモデルの優位性によって、成長が期待されます。
著名投資家の買い増しやアナリストによる強気な目標株価も、アップスタートの将来性を示しています。ボラティリティを許容できる長期投資家にとって、現在の株価は魅力的なエントリーポイントといえるかもしれません。
*過去記事はこちら アップスタート UPST