2025年5月30日、米投資情報誌「バロンズ」で、AIクラウド企業コアウィーブ(CRWV)についての特集記事が掲載されました。同社は、エヌビディア(NVDA)とマイクロソフト(MSFT)というAI市場の中心企業と深く関係しつつ、急成長を遂げている注目銘柄です。
しかし、株式市場での評価は必ずしも好意的とは言い切れません。本記事では、バロンズが報じたコアウィーブの成長戦略や財務状況、そして株価に対するウォール街の評価を紹介します。
マイナーなGPUマイニングから始まった成長企業
コアウィーブの起源は、2016年にエネルギートレーダーたちが始めた仮想通貨マイニング。ビデオゲーム用GPUを使ってイーサリアムを採掘していた彼らは、やがてAI向けクラウドインフラへの転換に成功し、現在ではメタ・プラットフォームズ(META)やIBM(IBM)などの企業も顧客に抱えています。
エヌビディアとの戦略的提携と成長加速
エヌビディアは主要なGPU供給元であるだけでなく、コアウィーブの株主でもあります。オープンAIがChatGPTを発表した2022年以降、AI需要が爆発的に増加し、コアウィーブはマイクロソフトやオープンAIからの受注を受けて急成長。2025年3月にはテック業界最大のIPOを果たしました。
当初の株価は47〜55ドルのレンジで見込まれていたものの、市場全体の調整の影響を受けて40ドルでスタート。しかし、5月末時点で株価は111.31ドルに急騰しています。
大型投資と巨額のキャッシュバーン──評価の分かれ目
現在のコアウィーブの課題は「キャッシュバーン」と「高いバリュエーション」です。2025年には約200億ドルもの設備投資を予定しており、年間で170億ドルの資金流出が見込まれています。ただし、同社は“テイク・オア・ペイ”方式(4年間の契約で設備使用料を固定)を採用しており、設備投資の多くは実際の受注に基づいていると主張しています。
財務的には、直近で20億ドルの社債を発行し、利回り9.25%で2027年までのキャッシュフロー改善を図る計画。アナリストによっては「高すぎる株価」「比較企業が存在しないことでボラティリティが高い」として、強気から中立に格下げする動きもあります。
株価は「熱狂か過熱か」──今後の焦点
バロンズによると、コアウィーブは2027年には売上が160億ドルを超えると予測されており、今後も成長が見込まれています。一方で、株価がすでに2027年予測売上の3倍以上のバリュエーションに達していることは、投資判断を難しくしている要因です。
記事は皮肉交じりに、「次に株価がどう動くか予測できれば良いが、結局のところは投資家の情熱次第」と結んでいます。
まとめ
コアウィーブは、AIインフラ市場の中で稀有な急成長企業であり、エヌビディアやマイクロソフトとの関係性からも将来性が高いと評価されています。しかし、その一方で極めて高い資金需要や評価額に対して、慎重な視点も必要です。
今後の株価動向を占ううえでは、財務の持続可能性、契約の安定性、そして市場全体のAI関連銘柄に対する熱狂度が重要な判断材料となりそうです。