マーベル・テクノロジー株に再注目の兆し?AIカスタムチップ分野での展開に期待

2025年、AI半導体市場の中で存在感を増す企業がある一方で、市場からやや見放された感のある企業も存在します。その代表格ともいえるのが、マーベル・テクノロジー(MRVL)です。第1四半期決算後の5月30日の米国市場で株価は再び下落し、7%近く下落して59.3ドルあまりで取引されており、年初来での下落率は46%にも達しています。しかし、アナリストの中には「割安すぎて無視できない」と評価を改める動きも出てきています。

エヌビディアやブロードコムと比較されるマーベルのAI戦略

マーベル・テクノロジーの株価はかつて、ブロードコム(AVGO)と共に急騰しました。背景には、グーグル親会社のアルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)といった大手企業が、エヌビディアのGPUに代わる選択肢としてマーベルのカスタムチップを活用するとの期待がありました。

しかし、最近ではアマゾンの次世代AIチップ「Trainium」の設計をマーベルが受注できないのではという懸念が広がり、株価に影を落としています。

データセンター部門の成長率は限定的

マーベルの主力であるデータセンター向けチップ部門は、前四半期比で5.5%の成長にとどまりました。これに対し、エヌビディアのデータセンター部門は10%の成長を記録しています。この数字は市場からの期待とのギャップを物語っています。

一方で、マーベルは「米国のハイパースケールデータセンター顧客向けのXPUプログラム」に引き続き注力しており、キーバンクのアナリストであるジョン・ヴィン氏は「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とのTrainium 3および4の開発に引き続き関与している」とコメントしています。また、AWSが調達先を分散する「デュアルソーシング戦略」を進めている可能性も指摘されています。

マイクロソフトとの連携が株価回復のカギ?

市場の一部では、マーベルがマイクロソフトのAIアクセラレーター「MAIA XPU」の設計を担っているとの見方も浮上しています。ベンチマーク・リサーチのアナリストであるコーディ・アクリー氏は「2026年の量産開始に向けて順調に設計が進んでいる」と評価し、目標株価を95ドルに据え置いています。

このように、アマゾンとの関係が不透明な中、マイクロソフトとの協業が新たな成長ドライバーとなる可能性があります。

6月のカスタムASICウェビナーが注目イベントに

マーベルは、6月17日にAIインフラ向けのカスタムシリコン技術に関するウェビナーを開催予定です。元々予定されていた6月10日のインベスターデーは2026年に延期となりましたが、ウェビナーを通じて今後の成長戦略を投資家に示すことが期待されています。

UBSのアナリストであるティモシー・アーキュリ氏は、「イベント後には投資家心理の改善が見込まれ、株価のバリュエーションも再び拡大していく可能性がある」と述べており、目標株価を100ドルとしています。

まとめ:再評価の時を迎えるマーベル株

AIブームの中心にいるとは言い難いマーベル・テクノロジーですが、大手ハイパースケーラーとのカスタムチップ協業、そして6月のイベントを通じた戦略開示次第では、再び脚光を浴びる可能性があります。今後の材料次第で、割安と見られる株価に反発の兆しが訪れるかもしれません。投資家にとっては、今が注視すべきタイミングかもしれません。

*過去記事はこちら マーベル・テクノロジー MRVL

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