クラウドベースのソリューションを提供する米国のソフトウェア企業、ヴィーバ・システムズ(VEEV)の株価が5月29日の米国市場で急上昇しました。2025年度第1四半期の決算が市場予想を大きく上回ったことに加え、通期の業績見通しを引き上げたことが好感されました。
EPSと売上がともに市場予想を上回る
ヴィーバ・システムズは、ライフサイエンス業界向けのSaaSを中心に展開しています。今回発表された調整後1株利益(EPS)は1.97ドルで、ウォール街の予想1.74ドルを大きく上回りました。また、売上は7億5900万ドルとなり、予想の7億2800万ドルを超える結果となりました。
通期ガイダンスを上方修正
経営陣は2025年度の調整後EPSを従来の7.32ドルから7.63ドルに引き上げ、売上見通しも強気の姿勢を示しました。これを受けて投資家の買いが集中し、株価は一時22%上昇の285.24ドルを記録。2021年11月以来の高値圏に突入しています。
マクロ経済環境の不確実性にも安定した業績
CEOのピーター・ガスナー氏は決算発表後のカンファレンスコールで、「90日前と比べてマクロ環境は不確実性が増しているが、当社の財務実績や案件パイプラインに大きな変化は見られない」と述べました。
アナリストの評価:サブスクリプションモデルの強さを評価
ウォール街の多くのアナリストは今回の決算を高く評価しています。米国みずほフィナンシャルグループのスティーブン・ヴァリケット氏は、サブスクリプション収益モデルが経済的逆風にも耐えられることを示したとし、目標株価を280ドルに据え置きつつ、アウトパフォームの評価を維持しました。
オッペンハイマーのアナリスト陣は「近年で最も優れた四半期」と表現し、株価目標を280ドルから325ドルに引き上げました。同社がライフサイエンス以外の業種にもCRMソフトを展開しようとしている点にも注目しており、2025年中には試験導入が開始される予定です。
一部アナリストは懸念も指摘
一方で、すべてのアナリストが楽観的というわけではありません。モルガン・スタンレーのアナリストは、ライフサイエンス業界が直面するFDA予算削減や、トランプ大統領による最恵国薬価制度の導入計画といった逆風に対して警戒感を示しています。
「ヴィーバ・システムズは、他の多くの企業が苦戦するライフサイエンス業界において、うまく舵を取っている」と同社は評価しつつも、「市場環境が安定しない限り、今後その影響が表面化する可能性もある」としています。