半導体大手エヌビディア(NVDA)の株価が過去最高水準で推移する中、最高経営責任者(CEO)のジェンスン・フアン氏が2025年末までに最大8億ドル超の自社株を売却する計画を明らかにしました。
ルール10b5-1に基づく株式売却計画とは
フアン氏は、2025年末まで有効な「ルール10b5-1」計画に基づき、合計600万株のエヌビディア株を段階的に売却する予定です。このルールは、内部関係者が非公開情報を利用して株式を取引することへの疑念を避けるために用いられる仕組みです。今回の新たな計画では、まだ1株も売却されていません。
なお、同氏は以前も同様の計画を実施しており、2024年6月14日から9月13日の期間に600万株を売却し、7億1,300万ドルを得ました。平均売却価格は118.83ドルでした。
現在の株価での売却額はさらに拡大へ
2025年5月28日の終値134.81ドルを基にすると、今回の計画に基づく売却株式の評価額は約8億900万ドルに達します。株価の上昇により、前回よりも大きな売却益が見込まれています。
CFOや取締役も同様の売却計画を実施中
エヌビディアの最高財務責任者(CFO)であるコレット・クレス氏も、2025年3月にルール10b5-1計画を採用し、2026年3月までに50万株の売却を予定しています。これらの株の時価総額は約6,740万ドルです。同氏の前回の売却では、同じく50万株を売却し、6,170万ドルを得ていました。平均売却価格は123.44ドルでした。
また、取締役のブルック・シーウェル氏も、2025年7月13日までに約115万株(評価額1億5,500万ドル)の売却を予定しています。これは、売却金額を定めた上での「見込み株数」に基づいたものであり、エヌビディアの開示文書によると、フォーミュラ方式により決定されます。
なお、シーウェル氏がエヌビディア株を売却するのは、2024年5月に1,438株(総額160万ドル)を売却して以来のことです。このときの売却単価は1,117.72ドルであり、2024年6月に実施された10対1の株式分割前の取引でした。
投資家にとっての意味
フアン氏や幹部による大規模な株式売却は、企業価値の下落を意味するわけではなく、計画的かつ合法的な資産分散の一環です。特にルール10b5-1に基づいた取引であるため、内部情報による不公平な取引ではありません。
それでも、こうしたインサイダー取引が公表されると、投資家の間では株価の今後の動向に注目が集まります。エヌビディア株の成長性と短期的な利益確定のタイミングを慎重に見極めることが、今後の投資判断の鍵となりそうです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA