シースリー・エーアイ株が急騰!予想超えの決算でAI関連銘柄に再注目

  • 2025年5月30日
  • 2025年5月30日
  • BS余話

2025年5月29日、エンタープライズ向けAIソフトウェアを提供するシースリー・エーアイ(AI)が発表した第4四半期決算が市場予想を上回り、株価が大幅に上昇しました。特に、損失幅の縮小と堅調な売上が投資家の関心を集めました。

赤字縮小と売上成長で投資家の期待高まる

シースリー・エーアイは2025年4月期第4四半期において、1株当たり16セントの損失を計上しました。これは、アナリスト予想の20セントの損失よりも良好な結果です。売上は1億870万ドルで、こちらも市場予想の1億780万ドルをやや上回りました。

同社のトーマス・シーベル最高経営責任者(CEO)は、「2025年度はシースリー・エーアイにとって勢いを築く年となり、前年比で25%の売上成長を達成しました」と述べています。通期売上は3億8,910万ドルで、前年から25%の増加となりました。一方で、通期の1株当たり損失は41セントでした。

株価は25%急騰 エヌビディアの好決算も市場を後押し

決算発表翌日の取引では、シースリー・エーアイの株価は一時25%上昇し、28.8ドルをつけました。市場全体も好調で、S&P500種株価指数は0.32%、ダウ工業株30種平均は0.07%それぞれ上昇しました。これには、半導体大手のエヌビディア(NVDA)が好決算を発表し、テック株が全体的に買われたことや、連邦貿易裁判所がトランプ大統領の関税措置の多くを違法と判断したことも影響しています。

今後の見通しと保守的なガイダンス

シースリー・エーアイは2026年度第1四半期(7月期)について、売上を1億〜1億900万ドルの範囲と予想しており、通期の売上見通しは4億4,750万ドル〜4億8,400万ドルとしています。ウェドブッシュ証券のアナリストであるダニエル・アイブス氏は、「堅実なガイダンスではあるが、やや保守的」と分析し、同社が困難なマクロ経済環境の中でもエンタープライズAIとエージェント型AIの成長機会を活かし続けていると評価しました。

ベーカー・ヒューズとの提携強化が今後の成長を支える

エネルギー関連技術を手がけるベーカー・ヒューズとの戦略的提携も拡大され、シースリー・エーアイの総売上の約20%を占める重要な収益源となっています。提携期間は2028年6月まで延長され、今後も石油・ガス業界や化学産業向けのAIソリューションの開発・提供・販売が継続される予定です。

利益未達成ながら顧客基盤は強固

シースリー・エーアイは2009年にオラクル出身のトーマス・シーベル氏によって設立され、いまだ黒字化は達成していません。2024年12月にはシーベル氏がAIバブルへの懸念を示したことで株価が下落した経緯もあります。

それでも、国防総省やコカ・コーラ、シェル、エクソンモービル、GSK、クエスト・ダイアグノスティクス、サノフィなど、幅広い顧客・パートナーとの取引が同社の実績を支えています。さらに、マイクロソフトおよびアマゾン・ドット・コムのAWSとの戦略的提携も売上拡大に貢献しています。

株価評価は二分 アナリストの目標株価もまちまち

29日の株価急騰にもかかわらず、シースリー・エーアイの株価は年初から33%下落しており、依然として年初来でマイナス圏にあります。アイブス氏は目標株価を45ドルから35ドルに引き下げましたが、一方でD.A.デビッドソンのアナリスト、ラッキー・シュライナー氏は、前向きな見通しを評価して18ドルから25ドルに引き上げました。

ファクトセットによると、現在シースリー・エーアイ株をカバーしているアナリスト15名の評価は「買い」「中立」「売り」で均等に分かれており、平均目標株価は28.85ドルとなっています。

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG