米国株市場で話題沸騰中の「TACOトレード」とは?トランプ大統領の関税戦略と株価の関係

  • 2025年5月29日
  • 2025年5月29日
  • BS余話

2025年5月、米国株市場では新たな投資キーワード「TACOトレード」が話題となっています。これは、ドナルド・トランプ大統領の貿易政策に起因する株価変動を表現したもので、金融市場関係者の間で急速に浸透しつつあります。

TACOは「Trump Always Chickens Out」の略

このTACOという言葉は、英フィナンシャル・タイムズのコラムニスト、ロバート・アームストロング氏が提唱した造語です。意味は「Trump Always Chickens Out(トランプはいつも土壇場で尻込みする)」。つまり、トランプ大統領が強硬な関税案を発表した後に、株価が急落するなどの市場の反応を見て、直後に関税を延期または撤回するという一連の動きに注目した表現です。

実際に、こうした動きは株価に直接的な影響を与えてきました。最近では、5月23日(金)にトランプ大統領が欧州連合(EU)製品に対して6月1日から50%の関税を課すと発表。これを受けてダウ平均株価(DJIA)は256ポイント(0.6%)下落し、S&P500(SPX)は2.6%、ナスダック総合指数(COMP)は1%それぞれ下落しました。

翌週の株価は急反発、TACO理論が発動

3連休明けとなった5月27日(火)、TACO理論が再び発動します。週末中にトランプ大統領は、EUのフォン・デア・ライエン欧州委員長からの要請を受け、関税の発動を7月9日まで延期する旨をSNSに投稿。「それは私の特権だ」とコメントしました。

この発表を受け、週明けの米国株式市場は急反発。ダウ平均は741ポイントの大幅上昇となり、「TACOトレード」が投資家の間で現実のものとして認識された瞬間となりました。

IGグループのチーフマーケットアナリスト、クリス・ボーチャン氏は「TACOトレードがまたしても勝利を収めた」と評価しています。

トランプ大統領は「交渉だ」と反論

こうした動きに対して、トランプ大統領は記者から「TACO」について問われた際、「それは交渉というものだ」「今の発言はひどい質問だ」と怒りをあらわにしました。

トランプ大統領としては、一貫した戦略の一部としての発言であると主張していますが、市場関係者からは「場当たり的」との見方も根強いようです。

市場の混乱とTACOの影響力

ミシガン大学フォード公共政策大学院の経済学者ジャスティン・ウルファーズ氏は、「過去の大統領の発言は翌日も同じ内容であることが前提だったが、今はそうではない」と指摘しています。つまり、TACOトレードが成立する背景には、トランプ政権の政策が一貫性を欠いていることに起因しており、これが市場参加者の不安心理や短期売買の動機付けとなっているのです。

英国のサクソー・マーケッツの投資戦略責任者ニール・ウィルソン氏も、「市場はTACOの再現を期待している」と述べており、今後もトランプ大統領の発言と市場の動きが密接に関連していくと見られます。


市場心理や政治動向の読み解きが、これまで以上に株式投資の成果を左右する時代が到来しています。TACOという一見ユーモラスなキーワードの裏には、深刻な市場の不安定さが隠れているのかもしれません。

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