ブロードコム、AI需要と株主還元で株価上昇の勢い加速

ブロードコム(AVGO)の株価は、AI関連事業の成長と積極的な株主還元策により、過去最高値に迫る勢いで上昇しています。最近ではアナリストによる目標株価の大幅な引き上げも発表され、投資家の注目が集まっています。

ブロードコムの株価は堅調に推移

5月28日の取引開始時点でブロードコムの株価は1株あたり237.47ドルとなり、0.8%の上昇を記録しました。過去1ヶ月間で22%も上昇しており、昨年12月の高値である約250ドルに迫っています。

AIチップ事業が成長をけん引

メリウス・リサーチのベン・ライツェス氏はこのほど、ブロードコムの目標株価を198ドルから283ドルに引き上げ、「買い」の格付けを再確認しました。この大幅な目標修正は、2027年度の予想利益に対する株価収益率(PER)を30倍に設定したことに基づいています。これは従来の22倍からの引き上げとなります。

ライツェス氏は、ブロードコムはエヌビディア(NVDA)に次ぐAIチップ分野の第2位企業として、AIプロセッサの年間成長率が2020年代末までに43%に達する見込みがあるとしています。企業は異なるワークロードに対応するため、エヌビディアとブロードコムの両社からコンピューティングリソースを調達しており、両社との関係を維持しています。

ブロードコムはすでにグーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)、メタ・プラットフォームズ(META)、TikTokの親会社であるバイトダンスといった大手ハイパースケーラーを顧客に持ち、さらに7社の新規顧客とカスタムAIチップの共同開発を進めていると発表しました。

これにより、サービス可能なアドレス可能市場(TAM)は2020年代後半に140億〜210億ドルに達すると見込まれており、ブロードコムはこれらの新規顧客での市場シェアを考慮すると、AI関連の売上高が70億ドルを大きく上回る可能性があるとしています。

AIネットワーク部門も堅調

AIプロセッサに加えて、ブロードコムはAI対応の大型データセンター向けの専門ネットワークチップの主要サプライヤーでもあります。この分野も急成長が見込まれており、AIネットワーク部門の売上高は2025年に約6億ドルに達する見込みです。年平均50%の成長を維持し、長期的には20%を超える成長も期待されています。

同業のマーベル・テクノロジー(MRVL)がカスタムAIチップ部門で期待外れの発表をしたことで市場に不安が広がる中、ブロードコムは顧客に対して年次でアップグレードを提供する能力を有しており、これが技術的な優位性となっています。

株主還元と戦略的買収

ブロードコムは最大100億ドル規模の自社株買い戻しプログラムを発表しており、株主還元にも積極的です。CEOのホック・タン氏は、過去にクラウドコンピューティング企業のヴイエムウェア(VMware)を610億ドルで買収するなど、大規模なM&A戦略を展開してきました。

ライツェス氏は、ブロードコムが今後も自社株買いと買収の両面で積極的に取り組んでいく可能性があると述べています。加えて、トランプ大統領の下での規制環境の変化が、さらなる買収の後押しとなる可能性もあるとしています。

今後の見通し

AI関連分野での成長が続く中、ブロードコムの株価はさらなる上昇が期待されています。既存顧客の拡大と新規顧客の獲得、そして株主還元の強化という三本柱により、同社は引き続き市場で高い評価を受ける見込みです。投資家にとっては、注目すべき銘柄の一つとなっています。

*過去記事「エヌビディアとブロードコムに追い風?AI投資が加速するビッグテックの動向に注目

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