2025年5月27日、テスラ(TSLA)の株価は、欧州での販売不振や中国市場での競争激化にもかかわらず、6%以上上昇しました。これは、米国と欧州連合(EU)間の関税延期や、イーロン・マスク氏の経営への再集中表明が投資家心理を支えたためと考えられます。
欧州での販売急減
2025年4月、テスラの欧州における新車登録台数は前年同月比で49%減の7,261台となり、EU域内では53%減の5,475台にとどまりました。これは、欧州全体の電気自動車(BEV)販売が27.8%増加した中での大幅な減少であり、テスラの市場シェアは1.3%から0.7%に低下しました。
この販売不振の要因として、マスク氏の政治的発言への反発や、モデルYの刷新が市場での魅力向上につながらなかったことが挙げられます。
中国市場での競争激化
中国市場では、2025年4月のテスラの販売台数が前年同月比で約24%減少しました。これは、BYDなどの中国メーカーが価格競争を仕掛け、消費者がより安価な国内製EVに流れたことが一因とされています。
また、テスラの上海工場では、モデルYの輸出が増加し、国内市場向けの供給が減少したことも販売減少の要因となっています。
株価上昇の3つの要因
テスラの株価上昇には、次の3つの要因が影響しています。
- 関税延期
米国のトランプ大統領がEUからの輸入品に対する50%の関税導入を7月まで延期すると発表し、貿易戦争への懸念が和らぎました。これにより、欧州との経済的緊張が一時的に緩和され、テスラ株にも安心感が広がりました。 - イーロン・マスク氏の経営専念
マスク氏が政治活動から距離を置き、再びテスラの業務に集中する姿勢を示しました。「24時間体制で働き、会議室や工場で寝泊まりしている」との発言が投資家の信頼を呼び戻しました。 - ロボタクシー計画への期待
テスラは、2025年6月にテキサス州オースティンで自動運転タクシーサービスを開始する計画を発表しました。この構想は、将来的な収益拡大への期待を集めており、株価の押し上げ要因となっています。
今後の展望
テスラは、欧州および中国市場での販売回復に向けて、ブランドイメージの改善や価格競争力の強化が求められます。また、ロボタクシーやAI技術への投資が、将来的な成長の鍵となると見られています。
投資家は、これらの取り組みが実を結ぶかどうかを注意深く見守る必要があります。テスラの今後の動向からは、目が離せません。
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