2025年5月28日、エヌビディア（NVDA）は2025年4月期第1四半期の決算を発表予定です。市場では、同社の業績と今後の見通しに対する関心が高まっています。特に、米国政府による中国向けH20チップの輸出制限が業績に与える影響が注目されています。
H20チップ輸出制限による業績への影響
エヌビディアは、米国政府の輸出制限により、H20チップの在庫評価損として55億ドルの特別損失を計上する見込みです。この影響により、第1四半期の売上高は前年同期比66.2%増の432.8億ドルと予想されていますが、粗利益率は11ポイント以上低下し、67.7%になると見込まれています。また、第2四半期の売上見込みは、現在の市場予想である459.2億ドルから約50億ドル減少し、400億ドル前後になる可能性があります。
中国市場向け新製品の投入計画
エヌビディアは、中国市場向けに新たなAIチップを開発中であり、2025年6月から生産を開始する予定です。この新製品は、米国の輸出制限に準拠した設計となっており、中国市場での売上回復が期待されています。
ブラックウェル・ウルトラの投入とその影響
エヌビディアは、次世代AIサーバー「ブラックウェル・ウルトラ（GB300 NVL72）」を2025年後半にリリース予定です。この新製品は、現行のGB200 NVL72に比べてAI性能が1.5倍向上しており、顧客が新製品の登場を待つ可能性があります。
ソブリンAI市場への進出
エヌビディアは、サウジアラビアやアラブ首長国連邦（UAE）などの中東諸国と大規模なAI関連の契約を結んでいます。サウジアラビアのAI企業「Humain」は、今後5年間で数十万台のエヌビディア製GPUを導入する計画です。また、UAEでは「Stargate UAE」と呼ばれるAIデータセンターが2026年に稼働開始予定であり、エヌビディアの最新AIサーバーが導入される予定です。
投資家への示唆
短期的には、中国向け輸出制限や新製品の登場を待つ顧客の動向などがエヌビディアの業績に影響を与える可能性があります。しかし、長期的にはAI需要の拡大やソブリンAI市場への進出が成長を支える要因となると予想されます。過去の決算発表後の株価変動を考慮すると、短期的な株価の下落は一時的なものである可能性が高く、長期的な成長を見据えた投資判断が求められます。
＊過去記事はこちら エヌビディアNVDA