半導体大手エヌビディア(NVDA)の株価は、5月27日(火)の米国市場で2.9%上昇し、135.1ドルをつけています(米国東部夏時間11:30現在)。前週末の23日には1.2%の下落を記録していましたが、今週発表予定の2025年4月期第1四半期決算への期待感が先行しています。
アナリスト予想:売上高は前年同期比66%増の433億ドル
ファクトセットの集計によれば、市場では1株当たり利益(EPS)を73セント、売上高は433億ドルと見込んでいます。前年同期から66%の増収となる予想で、AI半導体需要の強さが引き続き反映されています。
ただし、注目されているのはその数字自体よりも、以下の2つの重要課題に市場がどう反応するかという点です。
注目ポイント①:中国向け「H20」チップ規制の影響
パイパー・サンドラーのアナリスト、ハーシュ・クマール氏は、米国政府の規制によりH20チップの売上が想定よりも大きく落ち込む可能性を指摘し、「4月期はコンセンサス未達のリスクがある」とコメントしています。再設計された中国向けチップの商用化は7月期後半になるとみられており、同四半期の業績ガイダンスにも影を落とす可能性があります。
注目ポイント②:「ブラックウェル」プラットフォームの生産状況
一方で、ジェフリーズのウィリアム・ビービントン氏は、サプライチェーンの混乱が緩和されつつあり、最新の供給網チェックではブラックウェル・システム(GB200)の供給見通しが「過小評価されている可能性がある」と述べています。これにより、7月期以降の成長加速への期待感も高まりつつあります。
チップメーカー全体に波及する強気ムード
エヌビディアの決算に対する市場の楽観的な見方は、他の半導体銘柄にも波及しており、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が4.4%、ブロードコム(AVGO)が2.3%の上昇を見せています。
今後の焦点:7月期の業績ガイダンスとマージンの回復
市場は、7月期の業績ガイダンスと粗利益率の見通しに注目しています。H20規制による減収懸念がある一方で、新プラットフォームの立ち上がりと中国市場向け製品の復活がどのようにバランスを取るかが、今後の株価動向を左右する鍵となりそうです。
エヌビディアの決算発表は、5月28日(水)の引け後に予定されており、テクノロジー株全体にとっても一つの分岐点となりそうです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA