2025年5月27日、米国のAIクラウド企業であるコアウィーブ(CRWV)の株価は、著名なウォール街の調査会社による格下げにもかかわらず、一時15%上昇し、118.11ドルの過去最高値を記録しました。この急騰は、同社の成長性とAIインフラ市場での地位に対する投資家の期待を反映しています。
コアウィーブのビジネスモデルと成長戦略
コアウィーブは、エヌビディア(NVDA)のGPUを大量に購入し、AI開発企業や大手テック企業にクラウド経由でレンタルするビジネスモデルを展開しています。エヌビディアは同社の株主であり、主要なサプライヤーかつ顧客でもあります。この緊密な関係により、コアウィーブは最新のAIチップへの優先的なアクセスを確保しています。
主要顧客にはマイクロソフト(MSFT)が含まれ、2025年第1四半期の売上の33%を占めています。また、オープンAIとの間で5年間、119億ドル規模の契約を締結し、同社の収益基盤を強化しています。
財務状況と資本支出の課題
2025年第1四半期の売上高は9億8,163万ドルで、前年同期比420%の増加となりました。しかし、同四半期の純損失は3億1,464万ドルで、主にIPOに関連する株式報酬費用や高額な利息支払いが要因です。
同社は2025年に200億〜230億ドルの資本支出を計画しており、これは2024年の87億ドルから大幅に増加しています。これに伴い、2025年末までに約200億ドルの追加資金調達が必要と見込まれています。
投資家への影響と今後の展望
コアウィーブの株価はIPO価格の40ドルから157%上昇し、118.11ドルに達しました。しかし、バークレイズのアナリスト、ライモ・レンショウ氏は、同社の評価額が高すぎるとして、投資判断を「オーバーウェイト」から「イコールウェイト」に引き下げ、目標株価を70ドルから100ドルに修正しました。これは現在の株価から約15%の下落を示唆しています。
また、モフェットネイサンソンのアナリスト、ニック・デル・デオ氏は、株式の流動性が低く、ロックアップ解除によるボラティリティの増加を懸念しています。同氏は目標株価を43ドルから56ドルに引き上げましたが、依然として中立的な立場を維持しています。
まとめ
コアウィーブは、AIインフラ市場での急成長と主要企業との戦略的パートナーシップにより、注目を集めています。しかし、巨額の資本支出と高水準の負債は、同社の財務健全性に対する懸念を引き起こしています。投資家は、同社の成長性と財務リスクを慎重に評価し、長期的な視点での投資判断が求められます。