アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株式は、5月27日の米国市場で114.56ドルとなり、前日比で4.25ドル(3.85%)上昇しました。この上昇は、サウジアラビアとの10億ドル規模のAIインフラ提携や、米中間の貿易摩擦の緩和、AI関連製品の強化など、複数の要因が影響しています。
サウジアラビアとの10億ドル規模のAI提携
AMDは、サウジアラビアの新興AI企業Humainとの間で、今後5年間で500メガワットのAIコンピュート能力を展開する10億ドル規模のパートナーシップを締結しました。この提携により、サウジアラビアから米国にかけての広範なAIインフラの構築が進められ、AMDのAI市場でのプレゼンスが強化される見込みです。
米中間の貿易摩擦の緩和と株価への影響
5月12日に米国と中国が相互関税の90日間の一時停止に合意したことを受け、AMDの株価は7%上昇しました。これにより、HSBCはAMDの株式評価を「リデュース」から「ホールド」に引き上げ、目標株価を75ドルから100ドルに上方修正しました。
AIチップの強化と将来の展望
AMDは、2025年中頃に新しいAIチップ「Instinct MI350」シリーズを投入予定です。このチップは、CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)技術の採用により、性能と効率の向上が期待されています。HSBCは、これにより2026年のGPU売上高予想を従来の66億ドルから78億ドルに引き上げました。
米国の対中輸出規制による影響
一方で、米国政府による対中輸出規制の強化により、AMDは2025年に最大15億ドルの収益損失を予想しています。特に、MI308チップの中国向け販売が制限されることで、収益への影響が懸念されています。
クライアントセグメントの堅調な成長
AMDのクライアントセグメントは、インテル(INTC)との競争において価格競争力と製品性能で優位性を保っています。2025年第1四半期には、クライアントセグメントの売上高が前年同期比で58%増の23億ドルとなり、市場シェアの拡大が続いています。
まとめ
AMDは、サウジアラビアとの大規模なAI提携や新製品の投入により、AI市場での成長が期待されています。一方で、対中輸出規制による収益への影響も無視できません。投資家は、これらの要因を総合的に考慮し、慎重な判断が求められます。
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