2025年5月、中国の家電メーカーであるシャオミは、新型電気SUV「YU7」を発表しました。これは米国電気自動車メーカー、テスラ(TSLA)の人気モデル「モデルY」に真っ向から挑む車種であり、中国市場での競争が新たな局面を迎えています。
シャオミYU7の特徴と市場戦略
YU7は、シャオミの第2弾となるEVモデルで、成功を収めたセダン「SU7」のSUVバージョンとして位置づけられています。YU7の主な特長は以下のとおりです。
- 航続距離:最大835km(CLTC基準)
- 加速性能:0-100km/hを3.23秒(Maxグレード)
- 充電性能:15分で620km分の充電が可能(800Vアーキテクチャ)
- 価格帯:約35,000~45,000ドル(約500万~650万円)
これらの性能は、モデルYの航続距離(最大719km)や加速性能(0-100km/hを4.3秒)を上回り、価格帯でも競争力を持っています。YU7は2025年7月に発売予定で、すでに予約受付が開始されています。
テスラの中国市場における現状と課題
テスラは2024年、中国で約66万台の車両を販売し、世界販売台数約180万台のうち約37%をこの市場が占めています。しかし、2025年第1四半期は前年同期比で13%の販売減となり、中国での販売台数も横ばいにとどまりました。第2四半期初頭には、販売台数が前年同期比で約25%減少していると報告されています。
このような停滞の背景には、米中貿易摩擦や、イーロン・マスク氏の政治的発言によるブランドイメージの低下が影響していると指摘されています。これまで約10%で安定していた中国EV市場でのテスラのシェアも、新興企業の参入により減少傾向を見せ始めています。
テスラの対応策と将来展望
テスラは、近くより低価格の新型車を発表する計画を明かしていますが、投資家の間では既存モデル(モデル3やモデルY)の廉価版にすぎないのではないかとの懸念が広がっています。中国のEV市場では、低価格帯が全体の約40%を占めており、ここに対応できるかが今後の成長の鍵となります。
一方、投資家の注目は、車両販売そのものよりも、AI技術や自動運転車の分野に移っています。テスラは2025年6月にテキサス州オースティンでロボタクシーサービスを開始予定で、これが新たな成長ドライバーとなると期待されています。米国の証券会社ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏は、テスラの目標株価を350ドルから500ドルに引き上げ、「自律成長の黄金時代」と表現しています。
まとめ
シャオミの新型EV「YU7」の登場は、テスラの中国市場戦略に対する大きな挑戦となっています。性能・価格・充電インフラの全てにおいてYU7は競争力を持っており、テスラの市場シェアに影響を与えることが予想されます。テスラは、車種の多様化と技術革新により、この新たな競争環境に柔軟に対応することが求められています。
*過去記事はこちら テスラ TSLA