クラウド型データウェアハウスおよび分析プラットフォームを提供するスノーフレーク(SNOW)の株価が、堅調な2025年度第1四半期決算を受けて上昇を続けています。年初からの株価上昇率は約30%、4月初旬以降では約57%の上昇となっています。
スノーフレークとはどのような企業か
スノーフレークは、クラウドベースのデータウェアハウスを提供する企業であり、ユーザーは同社のソリューションを利用して大量のデータを保存・分析しています。同社の技術はストレージとコンピューティングを分離し、複数のクラウドサービスプロバイダー間でのデータ共有を可能にしています。
AI時代にも強みを維持
近年、人工知能(AI)がビジネスを破壊的に変化させる可能性があると懸念される中、スノーフレークもその影響を受けるのではないかという声が上がっていました。特に、スノーフレークが得意とする構造化データに対し、AIは非構造化データの解析を得意とするためです。
しかし現時点では、構造化データの需要が減少する兆候は見られず、スノーフレークはAIを積極的に取り入れることで非構造化データへの対応も進めています。その代表例が同社の「Cortex AI」プラットフォームで、5,200以上のアカウントが毎週このAIおよび機械学習機能を利用しています。また、データボロの買収を通じて、Google Driveなどとの連携も強化されています。
売上高が四半期で初の10億ドル突破
2025年度第1四半期では、前年同期比で26%の売上成長を達成し、四半期ベースで初めて10億ドルを超える売上高を記録しました。総売上高は10億4,000万ドルで、LSEGがまとめたアナリスト予想(10億1,000万ドル)を上回りました。製品売上は26%増の9億9,680万ドル、調整後1株当たり利益は0.24ドルで、前年の0.14ドルおよび市場予想の0.21ドルを上回りました。
既存顧客からの収益拡大も順調
ネットリテンションレート(既存顧客からの売上成長率)は過去12カ月で124%を記録しました。この数値が100%を上回ることは、既存顧客の解約を補ったうえでの追加売上が発生していることを示しています。特に前四半期に契約更新を延期していた大口顧客2社が、それぞれ1億ドル以上の契約を締結したことも注目すべき点です。
また、新規顧客数も堅調に増加しており、今期は451社の純増(前年同期比19%増)となりました。
今後の見通しとガイダンス引き上げ
同社は2025年度通期の製品売上見通しを、従来の42億8,000万ドルから43億2,500万ドルへと上方修正しました。これは前年比25%の成長を意味します。また、営業利益率は8%を見込んでいます。第2四半期については、製品売上が10億3,500万ドル〜10億4,500万ドル、営業利益率は同様に8%を予想しています。
株価は割高か、それとも妥当か?
株価は2025年に入ってから好調ですが、2021年秋のピークからは依然として約50%下落した水準にあります。当時の株価は過大評価されており、P/S(株価売上高倍率)は100倍を超えていました。
現在の予想ベースでのP/Sは12倍以上となっており、割安とまではいえないものの、25〜30%の売上成長率を持つ高収益のSaaS企業としては妥当な評価と考えられます。
まとめ
スノーフレークは、AIによる事業変化に柔軟に対応しながら成長を続けています。既存顧客の拡大と新規顧客の獲得、さらにはCortex AIなどの新サービスによる付加価値の創出が業績を後押ししています。
現時点では、株価は適正水準にあると考えられ、今後もAIと連携したサービスの強化が継続されるかが重要な焦点となります。保有中の投資家は引き続き注目する価値があり、今後の展開にも期待が持てます。
*過去記事はこちら スノーフレーク SNOW