アメリカのソフトウェア企業、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は、米国防総省との関係強化により、株価が上昇しています。特に、人工知能(AI)を活用した戦闘支援ソフトウェア「Maven Smart System(MSS)」の契約上限額が166%増加し、4億8000万ドルから12億7500万ドルに引き上げられたことが注目されています。
Maven Smart Systemの採用拡大と予算増加
MSSは、AIを用いて戦場での標的を優先順位付けするデータ分析プラットフォームです。2024年5月に5年間で4億8000万ドルの契約が締結されましたが、米国の統合戦闘司令部による予想を上回る採用により、契約上限額が12億7500万ドルに増額されました。
この増額により、今後4年間で年間平均2億7250万ドルのライセンス費用が見込まれています。2025年には2億ドルの支出が予想され、その後数年間で毎年5000万ドルずつ増加すると予測されています。また、パランティアは陸軍、海軍、空軍、宇宙軍向けにも別途ソフトウェアライセンス契約を結んでいます。
NATOとの連携強化
2025年3月末、NATO通信情報機関は、32加盟国の戦闘能力を近代化するためにMSSの導入を完了しました。この導入により、NATO内でのAI活用が加速し、パランティアの国際的なプレゼンスが一層強化されました。
次世代指揮統制(NGC2)プログラムへの期待
パランティアは、米陸軍の次世代指揮統制(NGC2)プログラムへの関与が「確実」と見られています。NGC2は、戦場での任務計画と実行を支援するもので、その規模と戦略的重要性から、パランティアにとって最大級の契約となる可能性があります。最近の契約上限額の増加は、陸軍が近い将来、関連する契約を発表する可能性を示唆しています。
株価の動向と市場の反応
これらの発表を受けて、パランティアの株価は5月22日の米国市場で3.6%上昇し、124.92ドルとなりました(米国東部夏時間14:25時点)。
投資家への示唆
パランティアのMSSの採用拡大とNGC2プログラムへの関与は、同社の収益基盤を強化し、長期的な成長を支える要因となっています。特に、防衛分野でのAI活用が進む中、パランティアの技術力と実績は、投資家にとって注目すべきポイントです。
今後も、米国防総省やNATOとの連携強化が進むことで、パランティアの成長が期待されます。投資家は、同社の動向を注視し、ポートフォリオの戦略に反映させることが重要です。
*過去記事はこちら パランティア PLTR