アルファベットがAI分野で攻勢強化、株価回復と今後の展望

2025年5月20日から開催されたアルファベット(GOOGL)主催のI/O開発者会議において、人工知能(AI)を活用した数々の革新的な機能が発表され、アルファベット株は再び投資家の注目を集めています。バンク・オブ・アメリカのアナリストは、アルファベットがAIで「攻勢に出ている」と指摘しており、この姿勢が株価を引き続き支える要因になっています。

「AIモード」搭載の検索機能を発表

会議で最も注目を集めた発表の一つは、検索機能に新たに導入された「AIモード」でした。これは、より高度な推論能力とマルチモーダル機能を持ち、「最も強力なAI検索」としてグーグルが位置づけています。この新機能は、昨年導入された「AIオーバービューズ」の進化系であり、オープンAIやパープレキシティといったAI搭載型検索の競合に対抗する形で投入されました。

株価の下落からの回復と市場の反応

5月7日にアップル(AAPL)が検索ビジネスへの影響を示唆したことでアルファベット株は一時7%以上下落しましたが、その後は反発し、現在は下落前よりも6%以上高い水準にあります。特にI/Oイベント後の2日間で1.9%上昇しており、AI強化による将来への期待が高まっています。

マネタイズの課題と可能性

メリウス・リサーチのアナリストは、イベント初日の株価下落はAIモードの広告収益化に関する情報不足によるものと分析していますが、発表内容には「ショッピング」「旅行の予約」「決済」など明確な収益化ルートが含まれていたと評価しています。また、グーグルはマルチモーダル理解、エージェント機能、リアルタイム実行力を備えたAIを提供しており、これは他の大手テック企業に対する大きな優位性とされています。

広告商品の進化と若年層ユーザーの活発な利用

ベアードのアナリストは、新しい広告商品やエージェント機能の導入が収益拡大に寄与するとし、グーグルの迅速なイノベーションを評価しています。AIオーバービューズおよびAIモードにより、従来よりも長文の検索クエリや対話形式の検索が可能になり、グーグルアプリから取得する文脈情報を活用したターゲティング広告が強化されます。特にZ世代が最も積極的に新しい検索形式を利用しているとの分析もあり、広告主の関心も高まりつつあります。

今後の収益モデルと課題

グーグルはAIモード以外にも、「ジェミニ・アドバンスト」など月額20ドルの有料プランを導入していますが、メリウスはユーザーがどこまで料金を支払う意思があるのかには依然として疑問が残ると指摘しています。ただし、リンクが大量に並ぶ検索結果を整理し、消費者が具体的な行動に移りやすくする数件の回答を提供することで、広告価値を高める戦略が有効になると分析しています。

AIがグーグル検索の成長を加速

エバコアISIのアナリストは「AIが検索の成長を妨げるのではなく、逆に加速させる可能性がある」とコメントしています。実際、米国とインドではAIオーバービューズによるクエリ利用が10%以上増加しており、グーグル検索の使用頻度そのものが高まっています。AI競争が激化する中でも、アルファベットはリーダーとしての地位を確固たるものとしつつあります。

*過去記事 アルファベット GOOGL

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