2025年5月22日、人工知能スタートアップのアンソロピック（Anthropic）は、最新の大規模言語モデル「Claude 4.0」シリーズを発表しました。このシリーズには、最高性能を誇る「Claude 4.0 Opus」と、より軽量でコスト効率に優れた「Claude 4.0 Sonnet」が含まれています。同社の初の開発者向けイベント「Code w/Claude」にて、この発表が行われました。
Claude 4.0 Opus：長時間の自律的なコーディングが可能な最上位モデル
「Claude 4.0 Opus」は、アンソロピックが開発した中で最も高度なAIモデルであり、特にコーディング能力において他のモデルを凌駕しています。同社は、このモデルが複雑なタスクを数時間にわたって持続的に処理できると述べています。例えば、楽天とのテストでは、Opus 4が約7時間にわたり自律的にコードを書き続けることが確認されました。これは、以前のモデル「Claude 3.7 Sonnet」の約45分と比較して大幅な向上です。
また、Opus 4は、複雑な問題解決や長時間のタスクにおいても高い精度を維持し、エンタープライズ向けのAIエージェントや高度な研究タスクに最適です。このモデルは、SWE-benchやTerminal-benchなどのベンチマークテストでも高いスコアを記録しています。
Claude 4.0 Sonnet：バランスの取れた性能とコスト効率
「Claude 4.0 Sonnet」は、Opus 4の性能を一部継承しつつ、より軽量でコスト効率に優れたモデルです。このモデルは、一般的なタスクや日常的な業務に適しており、迅速な応答と高い精度を両立しています。特に、コーディングや推論能力において前モデル「Claude 3.7 Sonnet」から大幅な改善が見られます。
Sonnet 4は、無料プランのユーザーにも提供されており、より多くの開発者が高性能なAIモデルを利用できるようになっています。
新機能と安全対策：拡張思考モードと高度なセーフティレベル
アンソロピックは、Claude 4シリーズにおいて「拡張思考モード（Extended Thinking）」を導入しました。このモードでは、モデルがツールの使用（例：ウェブ検索）と推論を交互に行うことで、より深い理解と高品質な応答を実現します。
また、Opus 4の強力な性能に伴い、安全性への懸念も高まっています。アンソロピックは、バイオリスクなどの潜在的な危険性に対応するため、AIセーフティレベル3（ASL-3）を適用し、強化されたサイバーセキュリティ対策や有害なクエリを検出するプロンプト分類器などを導入しました。
利用可能なプラットフォームと価格設定
Claude 4.0 OpusとSonnetは、アンソロピックのAPI、アマゾン（AMZN）Bedrock、アルファベット（GOOGL）のVertex AIを通じて利用可能です。価格は、Opus 4が入力100万トークンあたり15ドル、出力100万トークンあたり75ドル、Sonnet 4が入力100万トークンあたり3ドル、出力100万トークンあたり15ドルとなっています。
これらのモデルは、開発者や企業が高度なAI機能を活用するための強力なツールとなることが期待されています。
まとめ
アンソロピックのClaude 4.0シリーズの発表は、AI技術の進化における重要なマイルストーンとなりました。特に、Opus 4の長時間にわたる自律的なコーディング能力や、Sonnet 4のバランスの取れた性能は、開発者や企業にとって大きな利点となります。また、安全性への配慮も強化されており、今後のAI活用において重要な指針となる可能性があります。
今後、オープンAIやアルファベットなどの競合他社も、これらの技術的進展に追随することが予想され、AI業界全体の競争がさらに激化することが見込まれます。