アドバンス・オート・パーツ(AAP)の株価が5月22日の米国市場で大きく上昇し、終値は57.04%高の49.17ドルとなりました。これは、同社が厳しいマクロ経済環境の中で通期の業績見通しを再確認したことが材料視されたためです。S&P500が0.4%の上昇にとどまる中でのこの動きは、投資家の期待感を如実に示しています。
第1四半期決算の概要
同社の2025年第1四半期決算では、調整後1株当たり損失が22セントとなり、アナリスト予想の82セントの損失を大きく上回る結果となりました。売上高は前年の27.7億ドルから25.8億ドルに減少しましたが、それでも市場予想の25億ドルを上回りました。純利益は2,400万ドルで、前年同期の4,000万ドルから減少しています。
業績見通しを据え置き
CEOのシェーン・オケリー氏は声明の中で、「最近導入された関税により、経済環境が非常に変動的になっている」と述べつつ、「ターンアラウンドに向けた取り組みと今後の計画に引き続き注力している」と語りました。2025年通期の調整後EPSは1.50ドル〜2.50ドル、売上高は84億ドル〜86億ドルを見込んでいます。
空売り比率の高さと株価急騰の背景
今回の株価急騰の一因として、同社株の17%以上が空売りされていた点が挙げられます。これにより、好決算発表を受けたショートカバー(空売りの買い戻し)が株価上昇を加速させた可能性があります。ただし、年初来では依然として株価はマイナス圏にあり、競合であるオートゾーン(AZO)やオライリー・オートモーティブ(ORLY)が2桁成長を遂げているのとは対照的です。
過去の低迷からの脱却なるか
アドバンス・オート・パーツは過去5年間で株価が3分の2も下落しており、パンデミック後の修理需要の高まりを追い風に急成長を遂げたオートゾーンやオライリーとは大きな差がついています。同社は過去の誤った買収(WorldPac)からの撤退や経営陣の刷新などを行っており、立て直しを図っています。
今後の投資判断について
今回の決算報告とガイダンスの据え置きはポジティブな材料ですが、アドバンス・オート・パーツの本格的な回復にはさらなる証拠が求められる状況です。長年にわたって続いた業績不振と株価低迷を考慮すると、投資家が信頼を取り戻すには、継続的な改善の証が必要です。