ユナイテッドヘルス株にさらなる下落リスク、HSBCが再度格下げ

  • 2025年5月22日
  • 2025年5月22日
  • BS余話

ウォール街には「安い株がさらに安くなることもある」という格言があります。これは、まさに現在のユナイテッドヘルス・グループ(UNH)の株に当てはまる言葉です。HSBCのアナリストであるシダース・サフー氏は、1カ月前に「ホールド」に引き下げた評価をさらに「リデュース」に格下げし、目標株価も490ドルから270ドルに大幅に引き下げました。これは現在の株価からさらに約12%の下落余地があることを示しています。

株価半減の背景とさらなる懸念

ユナイテッドヘルスの株価は、過去1カ月でほぼ半分にまで下落しました。同社は通年の業績見通しを引き下げたうえに、メディケア・アドバンテージ部門の業績悪化を理由にその見通しすら撤回しました。さらに、米国政府によるメディケア事業に関する刑事調査報道も重なり、株価は一時274.35ドルと5年ぶりの安値を記録しました。

加えて、同社が介護施設に対し病院への転送を控えるよう秘密裏に資金提供していたという報道が英紙「ガーディアン」により明るみに出ました。これを受け、5月21日の米国市場で株価は再び4.4%下落しています。

ユナイテッドヘルス・グループはこの報道に対して、「司法省が数年間にわたり調査を行い、証拠を検証した結果、告発内容には重大な事実誤認があると判断し、起訴を見送った」と説明しています。

割安感はあるが、リスクには要注意

サフー氏によると、ユナイテッドヘルスの株価は4月16日終値と比較して47.5%下落しており、強気派は同社株が過去の評価に比べて約30%割安だと見ています。しかし同氏は、この水準でも十分な割安感とは言えず、投資家が直面するリスクの大きさを強調しています。

同社の医療損失率(医療費支出÷保険料収入)は、撤回された87%〜88%のガイダンスを上回る可能性があり、2026年にもコスト増加の影響が波及する可能性があります。

オプタムRxへの政治リスクと薬価圧力

また、ユナイテッドヘルスの薬剤給付管理(PBM)事業であるオプタムRxも、政治的リスクに直面しています。米国では超党派で薬価引き下げの圧力が強まっています。トランプ大統領も「最恵国待遇」政策の導入を主張しており、これは米国の薬価を海外の最低水準に合わせるものです。

このような医療費抑制策が今後も続く可能性があり、統合PBM事業に対する政策リスクが長期化することが懸念されています。

メディケイド資金削減リスクも視野に

さらに、政府が大型の減税法案を推進する中で、メディケイドの資金が削減される可能性も同社にとってはマイナス材料です。こうした複合的な要因が株価の下落を招いています。

アナリスト評価と今後の見通し

現在、ファクトセットによればユナイテッドヘルス・グループをカバーしている29人のアナリストのうち、強気の見方を示すのは21人、中立は5人、弱気は3人に留まっています。平均目標株価は378.86ドルで、現在の株価水準から約23%の上昇余地があると見られています。

ただし、2025年に入ってから同社株はすでに39.3%下落しており、S&P500構成銘柄の中で最もパフォーマンスが悪い銘柄となっています。

*過去記事「ユナイテッドヘルスが52週高値から56%下落!その理由と今後の株価見通しを徹底解説

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