TDカウエンは5月20日、エヌビディア(NVDA)がAIチップ市場における支配的地位を今後も維持するとする見解を示しました。テクノロジー担当のアナリストチームは、「我々の分析から、カスタムチップに対する商用GPUベンダーの優位性が確認され、エヌビディアの競争力の深さと広がりに対する信頼がより強まった」とレポートで述べています。
AIチップ市場は2030年までに約3倍に成長
TDカウエンによれば、AIプロセッサ(GPUなど)の市場規模は2024年の1,170億ドルから、2030年には3,340億ドルに達すると予測されています。このうち、エヌビディアのGPUが占める割合は90%とされ、AIチップによる同社の売上は、2024年の1,000億ドルから2030年には2,620億ドルに拡大すると見込まれています。
カスタムAIチップの成長は限定的
一部の専門家は、ブロードコム(AVGO)やマーベル・テクノロジー(MRVL)といった企業が大手IT企業と連携し、競争力のあるカスタムAIチップを開発することで、エヌビディアの市場シェアが脅かされる可能性を指摘しています。
しかし、TDカウエンはこうした見解に対し、2030年までにカスタムチップの市場シェアが現在の10%から15%に増加するにとどまるとの見通しを示しています。また、カスタムAIチップは依然としてエヌビディアの製品に比べて「明確な性能差」が存在するとしています。
ハードウェアからソフトウェアまで統合された強み
エヌビディアは、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーキングの各分野で最も成熟した技術を提供している点でも評価されています。TDカウエンは「エヌビディアの統合されたハードウェアシステムと強力なソフトウェアスイートにより、生成AIの推論性能で他社を大きく上回っている」と指摘しています。
長年の技術革新と投資が成長を牽引
アルファベット(GOOGL)は2015年に、アマゾン(AMZN)は2019年に、それぞれ独自のAIチップを発表しており、以後も改良版を継続的に投入しています。それでもなお、エヌビディアはAIチップ市場で圧倒的な存在感を維持しています。
TDカウエンは、「エヌビディアの技術ポートフォリオ、技術革新の歴史、そして成長志向の投資が、今後のアクセラレータ市場の成長をけん引する」と総括しています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA