米国時間5月19日、マイクロソフト(MSFT)が開催した開発者向け年次イベント「Build」において、イーロン・マスク氏が率いるAIスタートアップ「xAI」の最新モデル「Grok 3」および「Grok 3 mini」が、マイクロソフトのクラウドサービス「Azure AI Foundry」で提供されることが明らかになりました。
Azureに加わる新たなAIモデル
マイクロソフトは、オープンAI、メタ・プラットフォームズ、ディープシークなど、すでに多くのAIモデルをAzure上で提供しており、今回のxAIモデルの追加により、そのバリエーションは1,900以上に達します。なお、グーグルやアンソロピックといった有力プレイヤーのモデルは現在も未掲載の状態です。
Grok 3は、マスク氏が運営するソーシャルメディア「X(旧Twitter)」でもチャットボットとして稼働していますが、先週は南アフリカに関する陰謀論を拡散したことで一部で問題視されました。xAIは後に「不正な改変」があったと説明し、今後の透明性向上を約束しています。
マイクロソフトのAI戦略と今後の展望
今回の発表は、マイクロソフトのAI戦略の一環として、生成AIとエージェント(ユーザーの代わりに行動するAIツール)の管理機能の強化も含まれています。Windowsをはじめとする各種製品は、アンソロピックが提唱する標準プロトコル「Model Context Protocol(MCP)」をサポート予定であり、マイクロソフトはGitHub(ギットハブ)を通じてMCPの運営委員会にも参加しています。
CEOのサティア・ナデラ氏の基調講演にはマスク氏もオンラインで登壇し、「Grokに関するフィードバックを広く求めている」と述べ、今後の改善にも意欲を示しました。
投資家視点での注目ポイント
マイクロソフトはオープンAIへの巨額投資と、それを活用したAIプロダクト群により、クラウドAI分野でのリーダー的立場を確立しています。Azure上でのxAIモデルの提供は、AIサービスの裾野を広げ、さらなる収益源となる可能性があります。同社のAI関連売上は年130億ドル規模に達しており、今後も注目が集まる領域です。
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