サウジの「ソブリンAI」が始動!エヌビディアとトランプが描く新たなAI覇権とは?

2025年5月、世界のAI業界が注目する動きがサウジアラビアで起きました。
米国の投資情報誌「バロンズ」はこの出来事を詳細に報じています。記事によると、ドナルド・トランプ大統領がイーロン・マスク氏やサム・アルトマン氏ら著名なテックリーダーとともにサウジアラビアを訪問。その目的は、急成長を遂げる人工知能(AI)分野において、同国との新たな協力体制を築くことにありました。

サウジが掲げる「ソブリンAI」とは?

バロンズによれば、サウジアラビアは「ソブリンAI(主権型AI)」と呼ばれる国家主導のAIインフラ整備を本格化させています。これは、AIが自国の文化や価値観を反映し、他国に依存しない形で開発・運用されることを目指すものです。この構想は、エヌビディア(NVDA)のCEOジェンスン・フアン氏が2023年の決算説明会で強調した「国家によるコンピューティング能力の確保」という潮流とも一致しています。

サウジアラビアはこの構想の中核を担う新機関「Humain(ヒューメイン)」を設立し、国家プロジェクト「Project Transcendence」の柱として位置付けました。今後は、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の先端チップを活用した国内データセンターの建設も予定されています。

米国企業にとっての好機、政策変更の影響も

記事では、こうした取り組みがエヌビディアやAMDといった米国の半導体企業にとって、大きなビジネスチャンスとなる可能性があると指摘されています。特に、AIインフラ分野への投資が今後数年で年500億ドル規模にまで拡大するとの見通しも示されています。

さらに、トランプ政権はAIチップの輸出規制を見直し、国別に個別承認する方式へと方針を変更。この柔軟化によって、Humainはアメリカ製の最先端技術へ迅速にアクセスできるようになりました。

中国との関係に残る火種

一方で、サウジと中国との関係をめぐる懸念も報じられています。Humainは中国企業、特にファーウェイ(Huawei)との取引を回避する意向を示してはいるものの、UAEのG42のように明確な誓約をしているわけではありません。この違いが将来的に、米国との信頼関係に影を落とすリスクがあると専門家は指摘しています。

まとめ:AIが外交・安全保障の核心へ

バロンズの記事は、AI技術がもはや経済分野にとどまらず、外交・安全保障の重要な要素となっていることを浮き彫りにしています。サウジアラビアのような国がAIの主権化を進める動きは、米国のテック企業にとって新たな成長機会をもたらすと同時に、地政学的リスクとも表裏一体の課題となっています。

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG