米国の電力会社であるビストラ(VST)は5月16日、コネチカット州に拠点を置くロータス・インフラストラクチャー・パートナーズから7つの最新型天然ガス発電施設を約19億ドルで買収することで合意したと発表しました。今回の取引により、ビストラは約2,600メガワットの発電能力を新たに手に入れます。
この発表を受け、ビストラの株価は17日午前の米国市場3.1%上昇し、156.70ドルを記録しました。
買収対象は東西海岸の7施設、地理的な多様化を強化
今回の買収には、5つのコンバインド・サイクル・ガスタービン施設と2つのコンバスション・タービン施設が含まれています。これらの施設はアメリカ東海岸と西海岸に位置しており、ビストラはこの買収により天然ガス火力発電の地理的多様化をさらに進める方針です。
ビストラはすでに原子力、石炭、太陽光といった多様な発電資産を保有しています。同社の社長兼CEOであるジム・バーク氏は、過去に実施したダイネジーやエナジー・ハーバーの買収を例に挙げ、今回の取引が同社の成長戦略の一環であることを強調しました。
天然ガス火力の重要性と今後の展望
ジム・バーク氏は「米国の電力網において、天然ガス火力発電は今後も信頼性、経済性、柔軟性の観点からますます重要な役割を果たしていく」と述べています。今回の買収により、電力需要の増加に対応する体制が整うとしています。
資金調達は既存のローンと手元資金で対応
今回の買収資金は、ロータスから引き継ぐ既存のタームローンと手元資金を活用して賄う計画です。取引完了は2025年後半から2026年初頭を予定しており、規制当局の承認が必要となります。なお、バークレイズとモエリスがビストラの財務アドバイザーを務めます。
直近の決算は赤字転落も、長期的な成長を期待
今回の買収発表は、ビストラが発表した第1四半期決算の直後に行われました。同社は前年同期比で売上高を伸ばしたものの、2億6800万ドルの純損失を計上し、株価は一時下落しました。しかし、長期的な成長期待から、年初来で株価は14%上昇、過去1年では66%の上昇を記録しています。
同業他社であるコンステレーション・エナジー(CEG)も同日に0.9%の上昇を見せており、エネルギー関連株への投資家の関心の高さが伺えます。