シティは5月15日、米国のテクノロジー大手、マイクロソフト(MSFT)の目標株価を大幅に引き上げました。新たな目標株価は540ドルで、これまでの480ドルから約20%の上昇となります。14日の終値452.11ドルから見ても強気な見通しとなっており、その背景にはAzureクラウド事業の成長と人員削減によるコスト削減効果が挙げられています。
Azure事業の成長が加速、30%以上の成長率を予測
シティは、マイクロソフトのAzureクラウドコンピューティング事業について、今後の成長率を年間30%以上と予測しています。これは従来予測されていた「20%台後半」を上回る見込みです。
この背景には、米国の関税による景気減速懸念が和らいでいることが影響しています。Azureは企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)や生成AI分野での需要が高まっており、今後も持続的な成長が期待されています。
マイクロソフトは2025年度第3四半期決算において、Azureの売上高が前年同期比33%増加したことを発表しています。これは市場予想を上回る好調な結果となり、同社の成長エンジンとしての地位をさらに確固たるものにしています。
人員削減によるコスト削減効果は年間25億ドル規模
マイクロソフトは5月13日、全従業員の約3%に相当する数千人規模のレイオフ(人員削減)を実施すると発表しました。同社の広報担当者は「変化の激しい市場環境において、企業の成功に向けた最適な体制を整えるため」とコメントしています。
シティのアナリストは、この人員削減により年間で約25億ドル、全体経費の約4%に相当するコスト削減効果が期待できると試算しています。削減されたコストの一部は、生成AIを中心とした研究開発費に再投資される見込みです。
2025年の株価パフォーマンスも堅調
2025年に入ってからのマイクロソフト株は堅調なパフォーマンスを維持しています。年初来で8%近く上昇しており、同期間のS&P500種株価指数(SPX)の0.2%増、ナスダック総合指数(COMP)の0.9%下落と比較しても優れた成績を示しています。
投資家にとって注目の銘柄
今回のシティによる目標株価の引き上げは、マイクロソフトに対する市場の期待感を反映しています。クラウド事業の成長性とコスト削減による利益率向上は、同社の中長期的な株価上昇を後押しする材料となっています。
生成AIやクラウドサービスを軸とした事業戦略が功を奏し、今後も強い成長が期待されるマイクロソフトは、投資家にとって引き続き注目すべき銘柄と言えそうです。
*過去記事はこちら マイクロソフト MSFT