配当株の“完成形”に最も近い企業?エンブリッジの強さを徹底分析

  • 2025年5月16日
  • 2025年5月16日
  • 配当株

投資の世界では、「全てを手に入れる」ことは稀です。しかし、カナダのエネルギー大手エンブリッジ(ENB)は、インカム投資家にとって理想に限りなく近い銘柄と言えるかもしれません。今回は、エンブリッジがなぜ「配当株としてほぼ完璧」と評価されるのか、その最新動向を踏まえて解説します。

配当利回りがすべての条件を満たす

まず注目すべきは、エンブリッジの配当利回りです。現在の予想配当利回りは6.09%に達しており、これは驚くべき高水準です。過去4年間にわたり、6%を超える利回りを維持し続けている点も見逃せません。

次に、エンブリッジは30年連続で配当を増配しています。エネルギーセクターにおいて、これほど長期にわたって増配を続けている企業はごくわずかです。

もちろん、高い配当利回りや増配実績だけでは不安ですが、エンブリッジは財務面でも堅実です。同社の分配可能キャッシュフロー(DCF)に対する配当支払い比率は60〜70%の範囲に収まっており、今後も安定して配当を継続・増配する余力があります。

安定した低リスクのビジネスモデル

エンブリッジの堅調な配当実績を支えているのが、同社の安定したビジネスモデルです。エンブリッジは北米最大級のパイプライン事業者として知られており、原油パイプラインだけでも約29,000キロメートルを運営し、北米で生産される原油の約30%を輸送しています。さらに、天然ガスおよび天然ガス液(NGL)パイプラインは約116,000キロメートルに及び、アメリカで消費される天然ガスの約20%を運搬しています。

加えて、エンブリッジは北米最大規模の天然ガス事業者としての地位も確立しています。同社が運営・建設中の再生可能エネルギープロジェクトは、総容量6.6ギガワットを超え、130万世帯に電力を供給できる規模です。

エンブリッジは200以上の資産ストリームと事業からキャッシュフローを生み出しており、そのうち98%以上は規制契約やテイク・オア・ペイ契約によって保護されています。また、80%以上のEBITDAはインフレ対応型で、価格引き上げが可能な仕組みが組み込まれています。逆に、コモディティ価格に連動するEBITDAは1%未満にとどまっています。

財務基盤も堅牢で、エンブリッジの負債比率(Debt-to-EBITDA)は4〜5倍と適正な水準に管理されています。格付け会社による信用格付けも投資適格で、同社のバランスシートは健全です。CEOのグレッグ・エベル氏は、今後のM&Aや事業開発においてもバランスシートを悪化させない方針を明言しています。

このように、安定的でリスクの低いビジネスモデルを背景に、エンブリッジは過去19年間、毎年業績ガイダンスを達成しています。2025年もその記録を更新する見込みです。

今後も着実な成長が期待される

エンブリッジは配当利回りや安定性だけでなく、成長性も兼ね備えています。同社は2030年まで年率5%の成長を見込んでおり、これが今後の配当増にもつながると期待されています。

成長ドライバーとしては、産業需要の増加、石炭からガスへのエネルギー転換、データセンターの建設ラッシュなどが挙げられます。エンブリッジは現在、280億ドル規模の確定成長プロジェクトを抱えており、毎年80億〜90億ドルをこれらの資本プロジェクトに投資する計画です。さらに、追加で10億〜20億ドルの余剰資金を戦略的プロジェクトや小規模M&Aに充てる方針です。

外部リスクへの耐性

最近の関税や貿易摩擦といった外部リスクについても、エンブリッジの事業は主に北米内需を基盤としているため、影響は限定的です。エベル氏も「関税や貿易戦争による業績影響はほとんどない」と述べています。

まとめ

エンブリッジは、以下の要素を兼ね備えることで、インカム投資家にとって非常に魅力的な選択肢となっています。

・安定したキャッシュフローを生むビジネスモデル
・健全な財務基盤と投資適格格付け
・30年間連続増配と高配当利回り
・天然ガスおよび再生可能エネルギー分野での成長余地
・外部リスクへの高い耐性

これらを総合すると、エンブリッジは「高配当でありながら低リスク」という、インカム投資家が求める理想に極めて近い存在です。安定した収入を確保しつつ、将来的な成長も期待できるエンブリッジは、今後も注目すべき銘柄と言えます。

*過去記事「6%以上の配当利回り!エンブリッジがインカム投資家に選ばれる理由

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