サイバーセキュリティ企業のクラウドストライク(CRWD)の株価は、5月15日の米国市場で0.94%安の431.84ドルで取引を終えました。これは、米国みずほ証券のアナリストであるグレッグ・モスコウィッツ氏が、同社株の投資判断を「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に引き下げ、目標株価を425ドルに据え置いたことが影響しています。
モスコウィッツ氏は、クラウドストライクが今後も成長が期待される企業であるとしながらも、足元の市場調査では慎重な見方が増え、一部リスク要因も確認されていると指摘しています。それにもかかわらず、株価は非常に堅調に推移し、既に目標株価を上回る水準にあると述べています。
2024年7月の大規模障害から驚異的な回復
2024年7月、クラウドストライクはソフトウェアアップデートに伴うシステム障害を起こし、航空業界や金融機関をはじめとする複数の産業に大きな混乱をもたらしました。この影響で株価は一時的に急落しましたが、その後の回復は著しく、5月15日時点で年初来26%の上昇を記録しています。これはS&P500指数(SPX)の0.6%を大きく上回る成績です。
モスコウィッツ氏は「想像を絶する障害から、ここまで立ち直ったサイバーセキュリティ企業は他にない」と述べ、クラウドストライクの差別化された包括的な製品ポートフォリオ、優れたリーダーシップ、強力な市場開拓力と実行力が回復を支えたと評価しています。
5%の人員削減に市場は驚き
一方で、クラウドストライクは5月初めに全社員の約5%にあたる人員削減を発表しました。この動きについてモスコウィッツ氏は「意外かつ不可解だった」とコメントしています。好調な業績にもかかわらず人員削減に踏み切った背景には、経済環境の不透明感や競争激化があると見られています。
さらに、株価が年初来で大幅に上昇し、すでに目標株価を超える水準にあることから、ここで一度慎重なスタンスを取る必要があると指摘しています。
投資家は今後の動向を注視
クラウドストライクは、過去のトラブルを乗り越え、再び高い評価を得る企業へと復活しました。しかし、足元ではリスク要因や経済情勢の影響も無視できません。市場が織り込んでいない課題が表面化する可能性もあるため、投資家にとっては慎重な姿勢が求められる局面となっています。
*過去記事はこちら クラウドストライク CRWD