AIクラウドインフラ企業のコアウィーブ(CRWV)は、米証券取引委員会(SEC)に提出した最新の10-Q報告書において、オープンAIとの間で新たに最大40億ドル規模の追加サービス契約を締結したことを明らかにしました。この契約は2029年4月まで有効であり、AIインフラ需要の高まりを背景に、安定的な収益源となる見通しです。
オープンAIとのパートナーシップ強化は、コアウィーブが競争激化するAIクラウド市場で優位性を維持するための重要な一手と位置づけられています。
グーグルとの取引開始、顧客集中リスクを緩和
これまでコアウィーブは、売上の大部分をマイクロソフト(MSFT)に依存していましたが、新たにグーグルとの取引が始まったことが確認されています。同社の公式ウェブサイトにグーグルが顧客として掲載されたことで、顧客基盤の多角化が進展していることが示唆されました。
新規顧客の獲得は、マイクロソフト依存によるリスク軽減に直結し、今後の成長持続に向けたポジティブな材料となっています。
設備投資計画を上方修正、成長ドライバーとしての位置付け
コアウィーブは2025年の設備投資(Capex)計画を、当初予想の193億ドルから200億〜230億ドルへと引き上げました。この大規模な投資は、急速に拡大するAIクラウド需要に対応するためのものであり、今後の収益成長を支える基盤となります。
ただし、こうした積極的な投資姿勢には慎重な見方も存在しています。DAダビッドソンのアナリスト、ギル・ルリア氏は、事業のスケールに見合った利益を確保する難しさを指摘し、「高額な設備投資が企業価値に見合うリターンを生むかは疑問」とし、投資判断を「アンダーパフォーム」に引き下げました。
エヌビディアとの協業による競争優位性
コアウィーブは、エヌビディア(NVDA)との連携を通じて、最先端GPUを迅速に市場に投入できる体制を強化しています。エヌビディアが新たなGPUを次々と開発する中で、コアウィーブはその恩恵を直接受けられる立場にあります。
この戦略的パートナーシップは、他社との差別化要因として機能し、AIクラウド分野での競争優位性を高めています。
株価のボラティリティ継続、長期視点での成長期待
コアウィーブの株価は、決算発表前後で大きく上下するなど高いボラティリティを示していますが、AI関連市場の成長を背景に中長期的な上昇トレンドは継続するとみられています。
投資銀行ジェフリーズのブレント・シル氏は、「AIコンピュートの需要が衰える兆しはなく、コアウィーブは数年間にわたって市場をリードするポジションにある」とし、強気の見方を維持しています。
まとめ
コアウィーブは、オープンAIやグーグルとの新規契約、エヌビディアとの協業強化などにより、AIクラウド市場での地位を確固たるものにしつつあります。一方で、設備投資による財務負担や顧客依存リスクといった課題も抱えており、投資家にとっては慎重な判断が求められます。
今後もAIインフラ需要の拡大が続く中、コアウィーブの成長戦略とその成果に注目が集まります。