アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)が5月15日に米証券取引委員会(SEC)に提出した13-F報告書で、シティグループ(C)の株式をすべて売却し、バンク・オブ・アメリカ(BAC)の保有株数を大幅に削減したことが明らかになりました。一方で、コンステレーション・ブランズ(STZ)への投資を増やしています。
シティ株を全売却、バンク・オブ・アメリカも約4,860万株を売却
バークシャー・ハサウェイは、シティグループの株式1,460万株をすべて売却しました。また、バンク・オブ・アメリカの保有株数を4,860万株減らし、6億3,100万株としました。これにより、金融セクターにおける保有比率が引き下げられた形となります。
コンステレーション・ブランズへの投資を倍増
一方で、コンステレーション・ブランズの株式を約2倍に増やし、1,200万株まで保有を拡大しました。同社はビールやワイン、スピリッツを手掛ける大手飲料メーカーであり、バークシャーが注目する消費関連銘柄の一つです。
新規保有銘柄は非公開、さらなる買い増しの可能性
今回の13-F報告書では、バークシャー・ハサウェイが新たに取得した株式について、SECに対して非公開を申請しています。過去にはチャブ(CB)への投資時にも同様の措置が取られ、2024年にその保有が開示されました。
今回の非公開株式は、同社の2025年第1四半期の10-Q報告書によると、10億ドル〜20億ドル規模と見られており、商業・産業セクターに分類される企業である可能性が高いと考えられます。
アップル株は引き続き据え置き
バークシャー・ハサウェイの保有資産の中で最大規模を誇るアップル(AAPL)については、今回の四半期でも保有株数に変更はありませんでした。3億株を維持し、その価値は現在約630億ドルに達しています。
ブラジルのデジタル銀行「ヌー・ホールディングス」を全売却
ブラジルでデジタルバンク事業を展開するヌー・ホールディングス(NU)については、4,000万株を全て売却し、同社からの完全撤退を行いました。
フォーミュラ・ワン株式を50%削減、プールへの投資を増強
その他の動きとしては、リバティ・メディアが運営するフォーミュラ・ワン(FWONA)の保有株数を50%減らし、350万株に縮小しました。一方で、プール(POOL)への投資は約86万5,000株増やし、150万株としました。
また、キャピタル・ワン・ファイナンシャル(COF)の保有株数も30万株減らし、715万株としています。
売り越しの四半期、慎重な運用姿勢が続く
バークシャー・ハサウェイは、2025年第1四半期に32億ドル相当の株式を購入し、47億ドルを売却しました。これは、全体として売り越しの姿勢を示しています。今回の13-F報告書で明らかになった売買動向は、バークシャーの投資哲学に基づいた慎重なポートフォリオ調整と見ることができます。
アップルをはじめとする大型株の比重を維持しつつ、成長期待が高いセクターへの投資や、リスクヘッジのための利益確定売却を並行して行っている点が注目されます。
バークシャーの株式投資は、バフェット氏が担当する約90%の部分と、トッド・コムズ氏とテッド・ウェシュラー氏がそれぞれ担当する約10%ずつの部分に分かれており、今回の売買もその戦略に基づいて実行されています。