アプライド・マテリアルズ(AMAT)が5月15日の米国市場終了後に最新の決算発表を行い、市場予想をわずかに下回る見通しを示したことで、発表後の時間外取引で株価が下落しました。
4月期決算は予想通りも市場の期待に届かず
アプライド・マテリアルズの4月期における調整後1株当たり利益は2.39ドルとなり、ウォール街のアナリストが予想していた2.31ドルを上回りました。一方で、売上高は71億ドルとなり、市場予想の71億3,000万ドルとほぼ同水準にとどまりました。
続く7月期について、同社は売上高を中央値72億ドルとするガイダンスを示しましたが、市場予想の72億2,000万ドルをわずかに下回る内容でした。
AI半導体が引き続き成長ドライバーに
アプライド・マテリアルズの最高経営責任者(CEO)ゲイリー・ディッカーソン氏は、決算発表の中で次のように述べています。
「高性能かつ省エネルギーなAIコンピューティングが半導体イノベーションの主要な推進力となっており、当社は顧客やパートナーと緊密に連携し、業界のロードマップを加速させている」
アプライド・マテリアルズの主要顧客にはインテル(INTC)やTSMC(TSM)が含まれており、これらの企業もAI半導体への投資を拡大しています。
中国市場と米中貿易摩擦がリスク要因に
中国は半導体製造装置市場として最大規模を誇りますが、米中間の貿易摩擦が同社にとって懸念材料となっています。4月以降、米中両国は互いに関税率を100%以上に引き上げる一方で、90日間の交渉猶予期間を設けるなど政策が揺れ動いています。
現時点では半導体製造装置は関税対象外とされていますが、今後の動向次第では、チップや電子機器へのセクター別関税が導入される可能性もあります。
AI向け投資は堅調、長期成長トレンドに注目
決算発表後のインタビューで、ディッカーソン氏は「不安定な貿易政策の中でも需要に変化は見られず、顧客はAI半導体製品の製造に向けた投資を加速させている」とコメントしています。
また、今後のセクター別関税については言及を避けましたが、半導体業界全体の長期的かつ構造的な成長トレンドに注目するよう投資家に呼びかけました。
株価は時間外取引で5%下落
アプライド・マテリアルズの株価は、決算発表後の時間外取引で5%下落しました。市場は慎重な見通しに反応しましたが、AI関連の需要拡大という明るい材料も評価されています。
アプライド・マテリアルズの動向は、エヌビディア(NVDA)をはじめとする半導体関連企業にも影響を与える重要な指標となります。今後の米中関係や市場環境の変化にも注視が必要です。