米国の著名投資メディア「バロンズ(Barron’s)」が、2025年5月15日付の「Barron’s Stock Picks」コーナーでネットフリックス(NFLX)を特集し、「高バリュエーションにも関わらず、依然として魅力的な投資先」と評価しています。
この記事では、同社の強固なビジネスモデルや今後の成長シナリオをもとに、投資妙味を再確認しています。
貿易摩擦に動じない「デジタル型安全資産」
2025年の市場はトランプ前大統領の関税強化策により大荒れですが、ネットフリックス株は4月以降23%も上昇。S&P500の3.9%を大きく上回るリターンを見せています。
これは、ネットフリックスが「コンテンツ企業」であり、輸入関税の影響を受けにくいことが背景にあります。過去のコロナ禍でも同様に逆風をチャンスに変えた実績があり、「デジタル型の安全資産」としての側面が再認識されています。
フライホイール効果が生む利益成長の好循環
ネットフリックスの成長を支える重要なキーワードが「フライホイール効果」です。これは、事業活動が一度軌道に乗ると、連鎖的にさらなる成長を生み出す好循環を指します。
具体的には、ネットフリックスが新規加入者を獲得することで得られる収益が、さらに魅力的なオリジナルコンテンツの制作に投資され、その結果としてサービスの魅力が高まり、さらに多くの加入者を呼び込む――という循環が続く構造です。この自律的な成長サイクルが「フライホイール」と呼ばれ、利益率の向上にも直結します。
英Baillie Giffordの米国成長ファンド責任者も、2030年までに営業利益率が現在の27%から倍増する可能性を指摘しており、フライホイール効果による収益性の改善に強い期待を寄せています。
広告・スポーツ・リアル体験—多角化する成長エンジン
ネットフリックスは、2022年から開始した広告付き低価格プランを皮切りに、広告収入の拡大に注力。AIを活用した広告ターゲティングで、さらなる収益性向上が期待されています。
また、ライブスポーツ配信やネットフリックスブランドのレストラン「Netflix Bites」、体験型施設「Netflix Houses」など、ストリーミングにとどまらない新規事業も進行中。これらが次なる成長エンジンとなる見込みです。
2030年に時価総額1兆ドルを目指す
バロンズによると、ネットフリックスの経営陣は2030年までに時価総額1兆ドルを目指しており、現在の約4900億ドルから倍増する成長シナリオを描いています。
ファクトセット調べのアナリスト予想では、2025年のEBITDAは前年比26%増、2026年は20%増、2027年も18%増と堅調な成長が見込まれています。
まとめ:「成長株に相応のプレミアム」を支払う価値
確かにバリュエーションは高めですが、同社の利益成長スピードを考慮すれば、「今後むしろ割安に映る局面が訪れる可能性が高い」とバロンズは指摘しています。
成長株への投資を志向する投資家にとって、ネットフリックスは引き続き注目すべき銘柄と言えそうです。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX