トランプ政権がUAEへのAIチップ大規模輸出を検討 ─ エヌビディアと中東AI戦略の新局面

5月13日、ブルームバーグはトランプ政権がアラブ首長国連邦(UAE)へのエヌビディア(NVDA)製先端AIチップを100万枚以上輸出する計画を協議していると報じました。これは、サウジアラビアとの大型契約に続く、中東地域でのAI覇権拡大に向けた新たな動きとして注目されています。

年間50万枚のH100チップ供給案 ─ G42への割当も

報道によれば、2027年までに毎年50万枚のエヌビディア製H100チップをUAEに供給する構想が浮上しており、そのうち20%はアブダビのAI企業「G42」に割り当てられる見通しです。G42はかつて中国の華為技術(Huawei)との関係が問題視され、マイクロソフト(MSFT)との提携時に中国資本を切り離すことで米国側と合意した経緯があります。

しかし、依然として「UAE経由での技術流出リスク」が米政府内で懸念されており、今回の計画も賛否両論を呼んでいます。

オープンAIもUAE進出を模索 ─ 計画は流動的

ブルームバーグは、オープンAIがUAEで新たなデータセンター建設を検討していることにも言及しています。ただし、まだ正式な決定には至っておらず、計画は流動的な段階です。トランプ政権が掲げる「AI外交」の一環として、同地域での影響力拡大が急がれていることが背景にあります。

UAE政府の巨額投資と米国への交渉カード

UAE政府は、米国への巨額投資を交渉カードとして提示し、エヌビディア製チップの購入枠拡大を求めているとされています。この動きは、前述のサウジアラビアとの協定と同様に、米中AI技術覇権争いの一環として位置づけられています。

技術覇権と安全保障 ─ 議会の慎重論も

一方、米議会ではG42の過去の中国との関係性を懸念する声が根強く、議員らは「厳格な監視体制とガードレール」の設置を求めています。トランプ政権が進める規制緩和路線に対して、安全保障リスクとのバランスをどう取るかが大きな論点となっています。

まとめ ─ エヌビディアの中東戦略と投資家への影響

サウジアラビアに続くUAEとの大型チップ輸出計画は、エヌビディアの中東戦略を加速させる重要なステップです。一方で、技術流出リスクや議会の慎重論など、複雑な安全保障問題も絡む難題でもあります。5月28日に予定されるエヌビディア決算とともに、今後の動向が市場の大きな関心事となりそうです。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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