サーバー製造大手のスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の株価が5月14日のプレマーケット取引で再び大幅に上昇しました。前日比で18%高の45.88ドルまで急伸し、前日の16%高に続く形となっています。
アナリスト評価と新製品出荷が材料に
スーパーマイクロの株価上昇のきっかけは、レイモンド・ジェームズによる新たな投資判断でした。同社はスーパーマイクロのカバレッジを開始し、投資判断「アウトパフォーム」、目標株価41ドルとしています。同社はスーパーマイクロを「AI最適化インフラ市場のリーダー」と位置付け、競合他社と比べた際の「競争力のある価格設定」を高く評価しました。
加えて、スーパーマイクロは、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の最新プロセッサ「EPYC 4005シリーズ」を搭載した高密度サーバーの出荷開始を発表しました。このニュースも投資家心理を後押しする要因となりました。
サウジアラビアとの200億ドル契約も追い風
さらに同日、スーパーマイクロはサウジアラビアのデータセンター企業データボルトと200億ドル規模の大型契約を締結したことも明らかにしました。この長期的なパートナーシップにより、スーパーマイクロはデータボルトのハイパースケールキャンパス向けにGPUプラットフォームやラックシステムの提供を加速させる方針です。
このニュースは、AI関連市場での成長期待をさらに高め、株価の上昇を後押ししました。
米中関税の一時的な緩和も株価を押し上げ
加えて、米国と中国が一時的に関税を引き下げることで合意したとの報道が広がり、スーパーマイクロは市場全体の流れにも乗る形で買いが集まりました。
これにより、同社株は5月13日の取引終了時点で16%高の38.89ドルとなり、2日間で大幅な上昇を遂げています。
株価は依然として過去最高値から大幅安
ただし、スーパーマイクロの株価は過去最高値からは依然として大きく下落した水準にあります。52週高値からは53%下落、2024年3月に記録した過去最高値118.81ドルからは62%もの下落幅となっています。
財務報告問題と評価リスク
2月には、スーパーマイクロ・コンピューターが米国証券取引委員会(SEC)に対して一連の遅延財務報告書を提出し、ナスダックでの上場廃止を回避しました。しかし、監査法人BDOは2024年6月30日時点で「財務報告に関する内部統制が有効でなかった」とする否定的意見を表明しています。
否定的意見とは、企業の財務諸表に重大な誤りや不正確さがあることを意味します。この問題は一応「解決済み」とされていますが、レイモンド・ジェームズは「評判リスクがバリュエーションを抑制している」と分析しています。
まとめ
スーパー・マイクロ・コンピューターはAIインフラ市場での優位性と大型契約を背景に、株価が大きく反発しています。しかし、過去の財務報告問題や企業価値に対する懸念も根強く、今後の動向を注視する必要があります。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI