マイクロソフト(MSFT)の株価が5月12日の米国市場で2%近く上昇し、市場の注目を集めました。この上昇の背景には、マイクロソフトがオープンAIとの提携条件を見直し、チャットGPT開発元であるオープンAIが新たに株式公開(IPO)を行えるようにするという報道が影響しています。
この情報は英フィナンシャル・タイムズが関係者の話として報じたものです。なお、マイクロソフトもオープンAIもこの件について公式なコメントを発表していません。
2019年の独占契約も見直しへ
今回の報道によると、両社は2019年に締結した独占的なパートナーシップ契約の内容も含め、広範な契約を見直している最中とされています。
最新の公式発表は今年1月にさかのぼります。この時、マイクロソフトはオープンAIの唯一のクラウド提供業者という立場を失ったことを明らかにしました。しかし同時に、オープンAIがマイクロソフトのAIクラウドプラットフォーム「Azure(アジュール)」に対して大規模な新規契約を結んだことも発表されています。
オープンAIの事業形態変更も影響か
さらに、オープンAIは先週、自社の事業を営利企業の管理下に置く計画を撤回したことを公表しました。これはカリフォルニア州およびデラウェア州の司法長官との議論や市民団体との協議を受けた決定です。
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このような動きが背景にあることで、両社のパートナーシップの再定義が進められているものと見られます。
米中関係改善の兆しも株価を後押し
マイクロソフトの株価上昇には、米国政府が中国からの輸入品に対する追加関税を一時的に145%から30%に引き下げると発表したことも追い風となりました。
同日のS&P500指数は3%上昇、ナスダック総合指数は4%上昇し、ハイテク株全般にとってもポジティブな一日となりました。
今後の展望
マイクロソフトとオープンAIのパートナーシップは、生成AI市場における競争力維持のカギを握っています。今回の契約見直しによって、オープンAIのIPOや新たな資金調達の可能性が広がる一方で、マイクロソフトにとってもAzureを軸としたAI事業拡大の足掛かりとなることが期待されています。
市場はこの動きを好意的に受け止めており、今後の正式発表や両社の戦略に引き続き注目が集まります。
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