2025年の米国株市場は依然として波乱含みの展開が続いています。特にハイテク株を中心としたナスダック総合指数は、年初から8%以上の下落を記録するなど、逆風の中にあります。しかし、そうした厳しい相場環境でも、将来的な成長性に期待が集まっているテーマが「人工知能(AI)」です。
米証券会社ウェドブッシュのシニアアナリスト、ダニエル・アイブス氏は、「AIは過去40年間で最も大きなテクノロジー変革」と位置づけ、その波及効果に強気の見方を示しています。同氏によれば、世界のAI市場は2027年までに4,070億ドル、2030年には1兆8,100億ドルへと拡大する見通しで、年平均成長率は36%に達するとされています。
そんなアイブス氏がAI時代をリードする30社の有力銘柄を6つの分野に分類して発表したことは「【保存版】AI革命の波に乗る!注目すべき米国株30選2025」でお伝えしましたが、さらに、投資情報メディアのマーケットウォッチは、これらの銘柄について、2025年5月8日時点の終値とファクトセット調べによるアナリストの目標株価をもとに、各銘柄の「潜在的な上値余地(アップサイド・ポテンシャル)」を独自に算出し、投資判断の材料として付け加えています。
以下では、その30銘柄を分野別に整理し、株価の上値余地、寸評とともにご紹介します。
【1】半導体・ハードウェア:AIの演算を支える基盤
AIの高度な処理能力を実現するための土台となるのが半導体とハードウェアです。
- マイクロン・テクノロジー(MU):+45% 生成AI向けの高速DRAM需要が鍵。
- エヌビディア(NVDA):+37% AIサーバー向けGPUで圧倒的シェア。
- アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD):+28% GPUだけでなくCPUも含めた成長に期待。
- TSMC(TSM):+26% 先端チップ製造で不可欠な存在。
- ブロードコム(AVGO):+15% ネットワークチップ需要が拡大中。
AI、5G、IoTの広がりに伴い、半導体市場全体に中長期的な成長が期待されます。
【2】ハイパースケーラー:AIの頭脳を動かすクラウドの巨人
AIの処理と学習に不可欠なクラウドインフラを提供する企業群です。
- アルファベット(GOOGL):+31% Google CloudとGeminiの成長に注目。
- アマゾン・ドット・コム(AMZN):+25% AWSのAI統合が進行中。
- オラクル(ORCL):+18% エンタープライズAI基盤を強化。
- マイクロソフト(MSFT):+15% AzureとCopilotが成長をけん引。
AIとの統合が進むクラウドサービスは、2025年だけで3,250億ドル以上の支出が見込まれ、今後も高い需要が続くと予想されています。
【3】ソフトウェア:AIの機能を社会に届ける担い手
企業や個人がAIを実際に活用するために必要なアプリケーションや基幹システムを提供。
- イノデータ(INOD):+65% データアノテーションのニッチ市場を牽引。
- エラスティック(ESTC):+50%
- モンゴDB(MDB):+46%
- サウンドハウンドAI(SOUN):+43%
- セールスフォース(CRM):+31% AgentforceでAIによる営業支援を拡充。
- アドビ(ADBE):+26%
- シースリー・エーアイi(AI):+24%
- スノーフレーク(SNOW):+15%
- ペガシステムズ(PEGA):+13%
- サービスナウ(NOW):+11%
- IBM(IBM):+0%
- パランティア・テクノロジーズ(PLTR):-16%(目標株価を超過中)
AIが実用化フェーズに入る中、これらのソフトウェア企業は直接的な恩恵を受けることが期待されます。
【4】コンシューマーインターネット:個人向けAIの進化
ユーザー体験を変えるAIのフロントエンド。
- アリババ(BABA):+32% 中国市場での生成AI競争の本命。
- バイドゥ(BIDU):+25% 大規模言語モデル「文心一言」が話題。
- アップル(AAPL):+18% Apple Intelligenceに期待。
- メタ・プラットフォームズ(META):+17% 広告AIの精度向上が業績を押し上げ。
生成AIを広告、検索、コンテンツレコメンデーション、デバイス機能へ統合する取り組みが進んでいます。
【5】サイバーセキュリティ:AIの急拡大を支える守りの要
AIと同時に高まるセキュリティ需要に応える企業。
- サイバーアーク・ソフトウェア(CYBR):+22% 特権ID管理で高評価。
- パロアルトネットワークス(PANW):+13% 包括的セキュリティプラットフォームが強み。
- Zスケーラー(ZS):+2% 安定成長銘柄。
2027年にはサイバー犯罪による損失が23兆ドルに達すると予測され、対策の需要は増す一方です。
【6】自律化・ロボティクス:未来の社会インフラへ
AIが産業・交通を変える次の段階。
- オクロ(OKLO):+73% AI電力需要に応える新興原子力ベンチャー。
- テスラ(TSLA):+7% 長期的にロボタクシーとOptimusロボットの実用化が鍵
ロボタクシーや家庭用ロボット、そして電力需給の変化に応じた新技術への投資が注目されています。
おわりに:AIは長期投資テーマとして不変
短期的には関税や金利、地政学的リスクといった要因が市場を揺さぶっています。しかし、AIというテーマの成長性は中長期的に揺るがないと思われます。アイブス氏が選出したこれらの30銘柄は、そのAI革命をけん引する存在として、今後も注目に値します。
今後も当ブログでは、AI関連銘柄の最新動向や、個別企業の決算分析をタイムリーにお届けしてまいります。