アメリカの有力経済誌「バロンズ(Barron’s)」が、防衛産業の変革と今後の投資チャンスについて詳しく取り上げた記事を公開しました。この記事では、老舗の防衛大手から急成長を遂げるスタートアップまで、多様な視点から防衛関連株の現状と将来性を分析しています。
防衛産業を揺るがす新たな構図
バロンズの記事によると、ロシア・ウクライナ戦争や中東の緊張の高まりによって、戦争の形が大きく変化しています。従来の高価な戦闘機や空母だけでなく、安価な無人航空機(ドローン)やAI技術を用いた新型兵器の活躍が目立ち始めました。これにより、軍需産業全体に変革の波が押し寄せています。
老舗企業の立ち位置と評価
ロッキード・マーチン(LMT)やノースロップ・グラマン(NOC)などの大手企業は、株価の軟調にもかかわらず今後の成長機会を維持しているとされています。とくにノースロップ・グラマンは事業の多角化が進み、アナリストから高評価を受けています。L3ハリス・テクノロジーズ(LHX)も、最近買収したアエロジェット・ロケットダインの影響などで、安定した成長が見込まれているとのことです。
台頭するスタートアップの存在感
記事では、アンドゥリルやシールドAI、マッハ・インダストリーズといった民間技術ベースの新興企業にも注目が集まっています。これらは、より安価で迅速に軍事技術を提供することを目的としており、防衛予算の配分にも影響を与え始めていると指摘されています。
上場企業の中では、エアロバイロメント(AVAV)やクレイトス・ディフェンス(KTOS)などが、無人兵器分野での成長期待から投資家の注目を集めているようです。
国家安全保障を支えるブーズ・アレン・ハミルトン
ブーズ・アレン・ハミルトン・ホールディング(BAH)はコンサルティング企業としての側面だけでなく、AI技術や情報共有システムの開発でも存在感を示しているそうです。パランティア・テクノロジーズ(PLTR)と提携し、AI活用による軍事支援を強化しており、長期的には高い成長が見込まれるとのことで、現在のPERは16.6倍と過去5年間で最も割安な水準にあるそうです。
政治の影響と予算の動向
トランプ大統領による国防費の増額提案も記事では触れられており、2026年度予算は前年比13%増の1兆ドル超を見込んでいます。これは新技術開発や造船、次世代戦闘機の推進に向けた強いメッセージと解釈されています。
記事のまとめと投資家への示唆
「バロンズ」は、従来の大手企業が新興勢力に淘汰されるという構図ではなく、両者が共存しながら進化していくとの見解を示しています。市場の変化に迅速に対応できるかが、今後の株価や成長性を左右するカギとなりそうです。
今回ご紹介した内容は、2025年5月9日付の「バロンズ」記事「Defense Stocks Are Under Fire. How to Play the New World Order」をもとに構成しています。詳細に関心のある方は、原文をぜひご一読ください。